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2012/07/21

いじめの政治学

04619 いじめのことを勉強しなくっちゃと思って、まず、やっぱり中井先生のものは読んでおかなくてはと、『アリアドネからの糸』に掲載された「いじめの政治学」を読んだ。もう古典的文献とも言えそうだ。
 読んでみて、なるほどと思うぐらい、リアルというか、おきているいじめの特徴をつかんでいる。中井さんは、いじめについて、孤立化、無力化、透明化という3段階を経て完成するとしている。そういう構造でとらえると、いじめが深刻化している動きというものが、良く理解できるのだ。どのように被害者は加害者に従属し、もがき、あきらめ、そして、自殺願望へのつきすすんでいくのか。

 これは普遍的な問題でもある。つまり、戦前からあった問題でもあるのだ。だけど、同時に、いじめにはその時代の反映がある。いまの時代の中で、いまの子ども社会のなかで、この問題をどう理解するのか。

 ただ、中井先生は、この論文の結論部分では、以下のようなことがまず大事だと書いて結んでいる。「私は現段階では、PTSDの研究家ハーマンの言葉を引いて、まず安全の確保であり、孤立感の解消であり、二度と孤立させないという大人の責任ある保障の言葉であり、その実行であるとだけ述べておく」。このことは、まず、心に刻んで置くべきだし、大人の社会でできるだけ、共有しなければならないことだとも思う。

 中井さんはその後、別のところで、この論文について、次のように書いている。
 「この論文は、ひそかに、自殺まで思ういじめられっ子と教師とに読まれることを思って書いたものである。せめて、その子が全くの孤立者と感じないように、遠くから、きみの苦しさはわかっているよ、それはきみが弱いからではなく、卑屈でもなく、いじめが、そもそも理不尽なほど、いじめ側に有利な構造になっていて、きみはフェアであろうとして自分を責めるのはお門違いだよ、と、いかにいじめ側が優位に立ち、いじめられる側の基盤を掘り崩してゆくかを具体的に書いた。教師には、いじめ側への「無意識の共謀」に陥らないようにというメッセージを込めた。しかし、いじめの政治学は学校だけでなく、家庭でも、さらに子どもだけでなく、成人の世界でも働いている。それに盲目であるよりは、その構造を知るほうが少しはよく、自責を弱め、外傷性を軽くし、自殺は防げることがあるのではないか。これは、外傷に対する治療教育の可能性を示唆する。世界でもわが国でも大量に外傷が発生する現在、治療教育の必要性は緊急である」。
 ここにも、まず、いましなければならないことの重要な指摘がある。

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