9条「解釈改憲」から密約まで 対米従属の正体―米公文書館からの報告
著者が、現役の記者時代に、ジラード事件をはじめ、日米密約、秘密文書について論文を書いているのを読んだことがある。そのライフワークの追究のため退職後、七年にわたって米公文書館に通う。「なぜ、米軍人・軍属は日本で犯罪を犯しても、日本の裁判所では裁かれないのか」「なぜ、米軍機は、深夜も早朝も爆音をとどろかせ、また住宅地での低空飛行をやめないのか」。ついに、著者は、今に続く対米従属の源流を突きとめる。
その源流とは、、「戦力」保持を禁じる憲法九条があるかぎり、日本への米軍駐留は許されないとされていたことに対し、日本に軍事基地を確保したいアメリカが、九条の「新解釈」を日本政府に教え込むという経緯――それは砂川事件の伊達判決後の司法への介入の経緯でもある――であり、それが、サスペンス小説のごとく、謎解きがなされていく。
本書はまた、膨大な公文書を渉猟した成果として、日米政府間で交わされた密約の数々を平易な言葉で明らかにしているのがうれしい。
« 新自由主義からの脱出――グローバル化のなかの新自由主義VS.新福祉国家 | トップページ | 高校入試・適格者主義、学力保障を考える »
「平和」カテゴリの記事
- 23年度予算が成立 過去最大114兆円―岸田首相「物価高、切れ目なく対応」(2023.03.28)
- 国際法の視点から植民地支配責任を考える――「徴用工」問題に私たちはどう向き合うのか(2023.03.26)
- 「フェンス」(2023.03.20)
- 自衛隊と米軍 日本海上空や海上で共同訓練実施と発表(2023.03.19)
- (社説)日韓首脳会談 新たな協力築く一歩に(朝日新聞) うーん。(2023.03.17)
「読書」カテゴリの記事
- 『児童福祉の戦後史 孤児院から児童養護施設へ』(2023.03.23)
- 大江さん逝く(2023.03.13)
- 『学びのきほん フェミニズムがひらいた道 』(2023.03.10)
- 『もうひとつの戦場』 見つからない(2023.03.02)
- 「デニー知事と考える 沖縄と日本の安全保障」(2023.02.08)
「政治」カテゴリの記事
- 23年度予算が成立 過去最大114兆円―岸田首相「物価高、切れ目なく対応」(2023.03.28)
- 現場へ!)どうなる寄宿舎:1 支援学校、自立の場に危機(2023.03.27)
- 国際法の視点から植民地支配責任を考える――「徴用工」問題に私たちはどう向き合うのか(2023.03.26)
- 生活保護支給額引き下げを取り消す判決 和歌山地裁(2023.03.24)
- 『児童福祉の戦後史 孤児院から児童養護施設へ』(2023.03.23)
「沖縄」カテゴリの記事
- 国際法の視点から植民地支配責任を考える――「徴用工」問題に私たちはどう向き合うのか(2023.03.26)
- 「フェンス」(2023.03.20)
- 石垣に陸自駐屯地開設 「緊張高める」懸念強く 南西防衛 大きな節目(2023.03.16)
- 「基地の街 女たちの声なき声 〜あるアメリカ人弁護士の闘い〜」(2023.02.20)
- 防衛強化 安全担保せず 宮本元中国大使に聞く 信頼醸成へ日中対話重要(2023.02.14)
「歴史」カテゴリの記事
- 国際法の視点から植民地支配責任を考える――「徴用工」問題に私たちはどう向き合うのか(2023.03.26)
- 『児童福祉の戦後史 孤児院から児童養護施設へ』(2023.03.23)
- 「フェンス」(2023.03.20)
- (社説)日韓首脳会談 新たな協力築く一歩に(朝日新聞) うーん。(2023.03.17)
- 『学びのきほん フェミニズムがひらいた道 』(2023.03.10)
« 新自由主義からの脱出――グローバル化のなかの新自由主義VS.新福祉国家 | トップページ | 高校入試・適格者主義、学力保障を考える »
コメント