9条「解釈改憲」から密約まで 対米従属の正体―米公文書館からの報告
著者が、現役の記者時代に、ジラード事件をはじめ、日米密約、秘密文書について論文を書いているのを読んだことがある。そのライフワークの追究のため退職後、七年にわたって米公文書館に通う。「なぜ、米軍人・軍属は日本で犯罪を犯しても、日本の裁判所では裁かれないのか」「なぜ、米軍機は、深夜も早朝も爆音をとどろかせ、また住宅地での低空飛行をやめないのか」。ついに、著者は、今に続く対米従属の源流を突きとめる。
その源流とは、、「戦力」保持を禁じる憲法九条があるかぎり、日本への米軍駐留は許されないとされていたことに対し、日本に軍事基地を確保したいアメリカが、九条の「新解釈」を日本政府に教え込むという経緯――それは砂川事件の伊達判決後の司法への介入の経緯でもある――であり、それが、サスペンス小説のごとく、謎解きがなされていく。
本書はまた、膨大な公文書を渉猟した成果として、日米政府間で交わされた密約の数々を平易な言葉で明らかにしているのがうれしい。
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