心なき福祉 札幌・姉妹孤立死を追う
昨日のNNNドキュメント。結局見てしまったので、眠いです。
1月、厳寒の札幌のアパートで、40代の姉妹が遺体で見つかった。姉が病死したあと知的障害がある妹が凍死したとみられている。料金滞納を理由にガスが止まった部屋…生活困窮の果ての死だ。姉は生前、生活保護窓口を3回訪ねたが、申請書をもらうことすら叶わなかった。市は「生活保護の押し売りはできない」と弁明。だが、姉の面接記録などから、市の積極的な姿勢は感じられない。孤立死を防ぐために相談者宅を訪問するなど、踏み込んだ対応はできないのか。上田市長は「行政の力量が足りない」とその限界を口にする。3回助けを求めても救われない現実。市民の命を守るはずの福祉行政に、弱者を思いやる心は見えない。
番組そのものはとてもていねいに、つくられている。なるほど、申請主義ということを口実に、いまの生活保護行政の現場では、困難を抱えている人によりそわない状況が蔓延している。そう「心なき福祉」の現実。申請書を渡さないということそのものの問題性。そうした問題を、告発し、貧困の実際をていねいに紹介したことについて評価する。
ただ、気になるのは、2つ。1つは、最後に、「本当に助けを必要とする人に救いの手は届いていない」という言葉で結ばれていること。この言葉そのものはまちがいではない。だけど、では本当の助けを必要とする人とは誰なのかということがある。そのことで、多くの人は、我慢する。そのことを強いはしないか。と同時に、2つめに、結局、なぜ、申請主義を口実に窓口で追い返されるのかという現実の背景がぼかされる。価値判断を横において、だれもが助けられる制度になっていかないと、スティグマが残る。水際作戦を含め、生活保護の抑制はこのことを利用してくり返されている。そしてそのことが、低い保護率にとどけている。番組は、そこまではつっこんではいない。そういう不満。なんだけどね。どうだろうか?まだまだこの問題の議論はむずかしいということなのだろうなあ。
« バッシングを利用した生活保護制度の改悪を許さない声明 | トップページ | 県議選:野党が過半数を維持 »
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 自民党総裁選への「現職」不出馬、菅義偉・前首相に続き2代連続…鈴木善幸氏や海部俊樹氏の例も(2024.08.14)
- 『沖縄県知事 島田叡と沖縄戦』と「島守の塔」(2024.07.28)
- 「奥能登に生きる〜2つの過疎の町と震災〜」(2024.07.21)
- 「膨張と忘却 〜理の人が見た原子力政策〜」(2024.07.18)
- 8月号ができました(2024.07.09)
「政治」カテゴリの記事
- 河野大臣「自由に働き方を決められる制度が大事」 希望者には“勤務時間の上限廃止”も 働き方の規制緩和を表明(2024.09.05)
- 沖縄県の原告適格性、二審でも認めず 県は上告を検討 高裁那覇支部 新基地建設を巡る県と国の14訴訟で最後の係争案件 玉城デニー知事「残念」(2024.09.03)
- ほんとに、総選挙はいつになるのか(2024.09.02)
- 小1の不登校が2年で倍増 「幼・保・小」の連携で対応(2024.09.01)
- 自衛隊、宮古・八重山や奄美に新拠点検討 2025年度の概算要求 訓練場や補給の適地有無を調査 2027年度には那覇に対空電子戦部隊(2024.08.31)
「経済」カテゴリの記事
- 河野大臣「自由に働き方を決められる制度が大事」 希望者には“勤務時間の上限廃止”も 働き方の規制緩和を表明(2024.09.05)
- 小1の不登校が2年で倍増 「幼・保・小」の連携で対応(2024.09.01)
- 私の問題から、みんなの問題に(2024.08.28)
- 最前線 カマラ・ハリス氏の40分 最重要の見せ場で訴えた五つのポイント(2024.08.23)
- インクルーシブの対極の展開が十分に予想される(2024.08.22)
コメント