戦後教育学と教育科学研究会
『教育』はもう35年の購読者。だけど、教科研の会員になったことは実はないんだよなあ(笑い)。ということで、今日は、午後から、「戦後教育学と教育科学研究会」と題した教育科学研究会発足(再建)60 年を記念シンポジウムに法政に。報告はまず、佐藤広美さんの「戦後教育学と教科研の再建」。3・11から説き起こしながら、「罪の意識」ということを考え、そして、教科研出発にあった、勝田や宗像の「罪の意識」と戦争責任の問題を論じる。続いて、田中孝彦先生の「戦後教科研における子ども研究とそのための概念規定の蓄積」。これは、田中先生と教科研との出会いをふり返りながら「道徳と教育」部会の議論を見る。教科研の子ども論は、道徳ということを一つのポイントに発展してきたと言える。最後が久冨善之先生の「〈教育の社会性〉と教科研のアイデンティティ」と題して、教育と社会との関係への一貫した注目を、戦後の時代区分を意識して考えながら、教育・学校の変容と再生を考えるもの。
さて、ここからが討論をふまえつつの感想。討論は最後の報告からはじまる。結局、社会が教育に求めるものを考えた時、それは「学力」をめぐる議論に焦点化されるのだろうか?いうまでもなく、これからの社会を生きていくための力をどう考えるかの捉え直し抜きに、社会と教育の問題はない。そのときに、これまでの学力をめぐる議論をどうつかまえるのか?
いわば道徳の問題もそうであるわけで、道徳が、社会認識を基礎に、どう社会のなかで生きていくのかという問題であると言い換えれば、それが学力とは何かとつねに一体の問題にある。だけど、戦後の議論のなかでは一貫して学力というものはそう捉えられてこなかったわけで。
田中さんの報告も、久冨さんの報告も、現在の子どもや学校がかかえる問題との関係で、戦後のこうした議論をどう考えたらいいのかというところまでほしかったんだけどなあなどと、ブツブツ?
さて問題の佐藤さんの報告。学力をめぐる議論の態度って、実は戦前の問題との共通性はありそうだな。それはさておき、佐藤さんの着想はわかるのだけどね。だけど罪の意識というときに、国家の罪とそれへの同調だとか、構造やレベルの問題が出てくる。現在の問題をとらえるときに民主主義の問題と人権の問題がでてくる。現在の問題から、勝田の戦争責任認識をかんがえようとしたら、あらためて、戦前の教科研の問題を突き詰めざるを得ないのだろうな。戦争責任ということを一口で言っても、その実態は何なのか。良く整理されずに生のままで提示されていて、よく受けとめきれなかったというのが正直なところ。
大きなテーマだけに、突き詰めるような激論をもっとしてもいいんじゃないのかなって思うけど。というか、もっと若い人の意見が出されればなあという感じはする。本田先生がんばっていたけど。そういう意味で教科研もいよいよ過渡期かなあ。夏の大会は期待かな。
まとまりのない感想をとりあえず。
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