3・11と憲法
3・11は社会のあり方を根源から問いかけたという言い方がされますが、そうした問題に憲法学者が挑みます。冒頭、問われた問題が生命・生存・生活の権利であるとの問題提起がされます。この点を、労働権や生存権などの人権の問題、国や自治体などのあり方と統治機構の問題、そして学問の自由や知る権利など国家・社会と個人の関係を憲法学の角度から考えます。そうした作業を、憲法研究者だけでなく各分野の専門家が参加しておこなわれているのが本書の特徴でもある。
被災地・福島の率直な思い。それをふみにじってなされる国家緊急権の議論、政官財労学にメディアを巻き込んで形成された「原子力ムラ」=原発利益共同体の存在など日本社会のありようが浮き彫りになります。国民の生存権被害を深刻化させた第一の要因が、新自由主義改革とともに、「福祉国家の未成立」という日本独自の課題があるという指摘も重要です。
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