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2012/03/28

高校教科書:ページ数増加で学力重視 検定結果公表

 さすがに今日の朝刊はどこも、かなり高校教科書の検定にページをさている。朝日は1面トップ、読売は肩、毎日は真ん中あたり。だけど、どこの新聞も、記事の内容は、学習指導要領で教える内容が増えてていうことが中心で、中身まで踏み込んだ議論は弱いかなあというような印象がある。

高校教科書:ページ数増加で学力重視 検定結果公表(毎日新聞)

 文部科学省は27日、来春から主に高校1年生が使う教科書の検定結果を公表した。教育内容を増やした新学習指導要領に基づいた教科書で、現行の教科書(11年度供給)と比べたページ数は全教科平均の合計で12%増となった。教育内容を絞り込んだ99年の指導要領に基づく05年度供給分に比べると16%増で、小中学校に続き高校でも学力重視の教科書に塗り替わった。
 今回の検定には、高校の共通と専門を合わせた17教科について、36社から275点の申請があり、274点が合格。不合格は理科の新科目「科学と人間生活」の1点。共通教科で合格した218点について、文科省が記述の不備を指摘した検定意見は計7743件だった。今春から先行実施される数学と理科の一部教科書は10年度に検定が済んでいる。
 教科別の1点当たりの平均ページ数は、数学206ページ(11年度供給分比27%増)▽英語154ページ(同25%増)▽理科650ページ(同17%増)--など増加が目立った。数学と理科は、理数教育の充実に伴い復活や新たに盛り込まれた内容が多く、英語は指導する単語数が1300語から1800語に増えたことなどが理由とみられる。……

 だけど、今回の検定も相当、政治的な修正がなされているというのが特徴でもある。
 ある日本史教科書では、米大学教授が書いた「北東アジアの過去と現在」と題するコラムが大幅に書き換えられ、「日米同盟の利点はマイナスの点よりも大きいのでしょうか」「アジアとのより親密な関係は、日本の人々を利するものとなりはしないのでしょうか」などの文章が消えた。現代社会の教科書では、自衛隊の海外派兵に関連する記述に検定意見がつき、「自衛隊の活動範囲は戦時下の外国領域にまで及ぶことになり」との記述は「…戦時下にある戦闘地域に隣接する地域にまで…」に、「テロ対策特別措置法にもとづき、初めてアフガニスタンの戦地へ自衛隊が派遣され」という記述は「…アフガニスタンでのアメリカなどの活動を支援するために自衛隊が派遣され」に、それぞれ修正されている。などなどだ。
 歴史の教科書でも、南京大虐殺に関連して、修正が加えられたりもしている。
 たしかに、沖縄戦の問題では意見がつかなかった。だけど、これは、文科省のほうが、前回の検定を修正しなかったから、教科書会社のほうからふみこんだ記述を避けたというのが実際の事情なのだと考えられる。沖縄二紙の記述は以下の通り。

「集団自決」軍関与明記は3社 高校教科書(沖縄タイムス)

 文部科学省は27日、2013年度から使われる高校教科書の検定結果を公表した。日本史は、5社6冊すべて沖縄戦に触れている。「集団自決(強制集団死)」については3社が日本軍の関与を明記したが、06年度の検定以降に削除された「強制」の記述復活はなかった。削除根拠の一つとされた「軍命」の有無をめぐる大江・岩波裁判での勝訴も、後押しには至らなかった。一方、現代社会では、米軍普天間飛行場問題など現行本より沖縄問題を充実させている。
 検定意見が付いたのは、保守色の強い1社。今回、検定に提出しなかった教科書は来年以降となる。
 前回検定で、日本史の「集団自決」の記述を「強いられた」から「追い込まれた」と訂正した東京書籍は、今回もその内容を踏襲した。一方、コラムで「琉球とアイヌの歴史」「方言札」など沖縄への差別的な扱いを紹介するなど紙幅をさいた。
 「日本史B」では県内で3割の高校が使用する山川出版は、コラムで沖縄戦を紹介。しかし、現行本で「避難民はしだいに島の南部に追い詰められていった」との記述は「島民を巻き込んでの激しい地上戦となり」と簡略化、分量も減った。
 前回の検定提出を見送った実教出版は「日本軍は…県民を『集団自決(強制集団死)』に追い込んだ」、第一出版は「日本軍による…影響などによって『集団自決』に追い込まれた人もいた」とどちらも軍の関与を残したが「強制」には踏み込まなかった。……

高校教科書「軍命令・強制」明記せず 「集団自決」検定意見なし(琉球新報)

 文部科学省は27日、2013年4月から主に高校1年生が使用する教科書の検定結果を公表した。日本史教科書5社6冊のうち第一学習社、実教出版、東京書籍の3社3冊が沖縄戦の「集団自決」(強制集団死)を取り上げたが日本軍による「命令」「強制」を明記せず、「軍によって追い込まれた」などの表現となり、検定意見はつかなかった。現代社会、政治経済の教科書は普天間飛行場返還・移設問題など沖縄の米軍基地問題を取り上げた。
 06年度検定では「沖縄戦の実態について誤解する恐れがある」との検定意見によって「集団自決」の強制に関する文言が削除された。今回の検定では教科書会社側が当初から日本軍による「命令・強制」の明記を避けたため、検定の過程でも大きな議論にはならなかったものとみられる。
 山川出版社、明成社の2社3冊は「集団自決」に触れなかった。世界史では清水書院と実教出版の2冊が「集団自決」に触れたが、「軍命」や「強要」の文言は使用していない。
 明成社の日本史Bでは「中学生・女学生を含む一般県民の防衛隊を兵力に加えた守備隊が、軍民一体となって米軍と激しい戦闘を続けた」などの記述に対し、「沖縄戦について説明不足で理解し難い。女学生が兵力であるかのように誤解する恐れがある」などの検定意見がついた。……

 教科書をめぐるたたかいは、今後も、重要な課題でるところは違いない。

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