前進座劇場閉館、苦渋の選択 梅之助さん説明 東京
前進座劇場閉館、苦渋の選択 梅之助さん説明 東京(朝日新聞)本拠地である前進座劇場(東京都武蔵野市吉祥寺南町3丁目)の売却を決めた劇団前進座。1982年に完成した劇場は、建設費用の募金に多くの武蔵野市民が応じ、正月公演の初日には出演者と武蔵野市長らが鏡開きをするのが恒例行事になるなど、地元との絆は深い。それだけに、今回は思案の末の苦渋の選択だったという。
代表の中村梅之助さん(82)は、3月1日付の「月刊前進座」の1面のほとんどを使って、閉館に至った経緯を説明している。
それによると、2011年9月、劇場東側に隣接する築40年以上の病院から「耐震化や医療環境向上のため拡張せざるをえず、前進座劇場の土地を譲ってほしい」と申し入れがあったという。
劇場建設をめぐっては、作家の松本清張さんら全国の後援者からの資金援助を受けた。また、法律上は劇場が建てられない地域であるため、地元の後押しで特別許可を得て実現した経緯がある。こうしたことを踏まえ、劇団側は当初、「内外の合意を得ることは難しく、実現の可能性は低い」と回答したという。
一方で、劇場は老朽化に伴う補修や耐震補強が必要で、照明や音響設備のコンピューター化への対応など、維持に多額の費用がかかるという。景気が低迷する中、劇団の経営も決して楽ではない。
こうした中、最終的には、病院の拡張で地域の医療体制が整備され「(現在、劇場の西側に)隣接する『吉祥寺南町コミュニティセンター』と連携しての地域防災強化が可能になるという意義を考え」、劇団の総会を開いて売却を決定したという。
梅之助さんは「座の今日的使命を地道に継続していくためには、『泣いて馬謖(ばしょく)を斬る』と申しますが、最低限必要な稽古場と事務所に施設を縮小することもやむなしという結論に至りました」と記している。
地元住民からは惜しむ声が上がっているが、事務所と稽古場は、今回の売却分に含まれない劇場裏の所有地に新たに建設するという。前進座は全国を巡演する一方、本拠の前進座劇場での上演は現在でも正月と秋の年2回にとどまっており、活動全体でみれば、劇的な変化はないとみられる。
前進座はね、地域で、何度か、子ども劇場の公演をしていただいたことがある。本格的な劇団だし、歌舞伎などの伝統芸能に子どもがふれる貴重な機会だった。
この劇場にも何度か行ったことがある。だから、ちょっと寂しいなあ。
演劇を取り巻く環境は厳しい。子ども向けの公演の機会もどんどん減っているんだろうなあ。学校で演劇鑑賞などもうほとんどないだろうし、こども劇場もどんどんなくなっている。うちの地域の劇場も姿を変える。
劇団として、しっかりした仕事をさらに継続していってほしいものだ。
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