福島は訴える 「くらし」「子育て」「なりわい」を原発に破壊された私たちの願いと闘い
冒頭に中学生が書いた朗読発表シナリオ「私たちも叫びたい 訴えたい」が掲載されている。その訴えがまず、心に響く。
福島は、あの日の電源停止から爆発を契機に、想像を絶する困難に直面している。続いて27人が、その後の体験を語る。研究者、教員、保育士、母親、農家、漁業者、スーパー経営者、医療生協、議員……。さまざまな立場の人が、当事者、体験者として、どのように「くらし」「子育て」と「なりわい」が一変したのかを語る。そして、それは同時に、体験の記録であるとともに、安全神話をふりまいて原発をつくり、あげくのはてに、この地に、絶望と困難をもたらした、政府と東電への告発でもある。
避難している方(その一人はいまボクのご近所にお住まいです)、また、避難せず子どもを被災地で育てる方もいる。耕作を放棄せざるを得なかった方、必死で牛と生きる方、いまだ漁にも出れない方、悩みも苦しみも、一様では決してない。もちろん、先日の反貧困の福島集会参加の雨宮さんの報告(マガジン9)でもあるように、さまざまな分断がそこには生じている。だけど、それでも、思いを一つにこうした本になっているのは、たぶん9条の会として、人権・生存権が生かされる社会を願う立場から問題を論じているからだと思う。そして、そういうなかでも必死で生き抜くとりくみをする人たちの姿も心を打つ。
この本は、すでに何度か増刷されているそうだ。ネット上でもさまざまな感想が出されている。それは、たぶん、著たちが、さまざまな場で、福島の今を訴え、この本をすすめているからだと思う。ボクの近所の方も、先日の地域の集会で、訴えをされ、この本の紹介をされていた。そう言う生きた訴えの本でもある。
決して、福島の問題から目をそらさず、今の日本の問題を考えるためにも、この本は相当、大事な本だと思った。
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