小学校 新教育課程に関する調査 2011
新学習指導要領が小学校で完全実施になってまもなく1年たつ。来年度からは中学で完全実施だ。いったい現場で、何がおこっているのか。ベネッセの研究所が校長、教員、保護者に聞いた調査結果がまとまった。
報告書はここ。
それによると、こうだ。
1.1学期の授業では、国語で4割強、算数で3割弱の教員が、進度に遅れがあると回答 どの学年でも、約半数の学校が、国の定めている標準授業時数より多い時数を設定しているにも関わらず、1学期の授業が年間指導計画より「遅れている」とする教員は、国語で41.5%、算数で27.0%を占める。 年間指導計画からの遅れがみられた原因には、「学習内容や教科書の分量が多い」(国語60.7%、算数57.6%)ことと合わせて、「児童間の学力差が大きい」(算数71.2%、国語47.3%)ことがあげられている。2.授業の遅れに対しては授業内での対応を予定。また「長期休業中の学習指導」実施は5割を超える
授業の遅れに対しては、「全体的に授業の進度を速める」「重点を置く単元を設ける」などの授業内での対応が予定されている。また、54.7%の学校が「長期休業中の学習指導の実施」を予定している。3.「授業についていけない児童」が「増えた」2.5割、「児童間の学力格差」が「大きくなった」4割
教員は、移行措置期間も含めた児童の変化として、「授業についていけない児童」の増加(「増えた」26.3%)、「疲れている児童」の増加(「増えた」39.3%)、「児童間の学力格差」の拡大(「大きくなった」40.1%)などを感じている。思考力・判断力・表現力等にかかわる児童の変化としては、「分かりやすく伝えたり、説明できる児童」「感じたことを表現できる児童」などの増加を感じている教員もいるが3割弱にとどまり、全ての項目で、「変わらない」という教員が6~8割台存在した。4.「活用」の時間の確保への不安は、各教科で6~8割を占める
教員が授業において多くするように特に心がけている指導は、算数の「習得」が78.8%、国語の「習得」が60.3%のほか、算数における「活用」が45.7%、国語における「言語活動」が58.2%となっている。一方、「活用」の学習時間の確保や、「習得」「活用」を関連させて思考力・判断力・表現力等を育成することへの不安を、各教科で6~8 割の教員が抱えている。「教材研究・教材準備の時間が十分にとれない」という悩みを抱える教員は9割を超える(「とてもそう思う」+「まあそう思う」の合計)。5.4分の3以上の保護者は、学校の教育・指導に満足している
新教育課程について、授業時数の増加は88.6%、学習内容の増加は87.0%の保護者が認知しているが、思考力・判断力・表現力等の育成の重視学習内容の質的変化)を認知している保護者は58.7%とやや低い(「よく知っている」+「まあ知っている」の合計)。
今年度1 学期の学校の教育・指導に対する総合的な満足度は76.9%である。「基礎的な知識を習得させる」こと(78.9%)、「見学や実物にふれるなどの体験をさせる」こと(67.9%)への満足度は比較的高く、「考える力や判断する力を伸ばす」こと(54.6%)などへの満足度はやや低い(「とても満足している」+「まあ満足している」の合計)。6.小学校の学習量については「今くらいがいい」と66.5%の保護者が回答
現在の小学校の学習内容の量に対して、「今くらいがいい」と考える保護者が66.5%を占めている。「今よりも増やしたほうがいい」と考える保護者は28.6%である。
教員も、子どもの、学習内容の多さに右往左往している。だけど、親の学校に対する信頼は結構、多い。ならば、問題の解決は、学校と教員を支援する中で、問題の解決をはかることだろうなってことなんだけどなあ。
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