ショック・ドクトリン ―― 惨事便乗型資本主義の正体を暴く ――上・下
長い、長い上下二巻本。何度も中断しながら、読んだ本。これはたしかに現代の古典になりそうな本。この著者、まだまだ若いのにすごいなあ。
もちろんね、新自由主義が、自由を目指すものでは決してなく、国家権力を最大限活用するなどの議論は、十分されてきたわけで、この本の着想は必ずしも新しいものではない。そして、ショックを活用して、飽くなき資本の利潤追求の姿も、くり返されてきたもの。その手法も、ほんとうに歴史的に練り上げられたもの。しかし、それが、資本主義が、さまざまな行き詰まりを見せてきた70年前後から、露骨に展開される。南米、アジア、東欧、イラク、スリランカ、アメリカ、イスラエル。この本は、そういう現代の歴史を記録したことに意味がある。その生々しさはおどろくほど。それでも、その姿は、考えれば、ほんとうにそうなんだもの!
だけどね、それは日本でもたぶんくり返されてきたことなのだと思う。それでも、これをくり返そうという資本の姿は眼前にある。くり返される誤魔化し資本主義の姿は、その一側面なんだ!そして、たぶん震災もその契機にしようとする資本がある。
それとどう対抗するのか。南米の変化、国際機関への異議、何よりも地域の住民が参加した復興こそがその基本だと。もちろん、それだけでは足りないかもしれない。もっと知恵も必要かも。だけど、それはやっぱり基本的な視点だよなあ。
この資本の姿を議論するって、これまで結構難しかった。だけどね、震災と原発事故を契機に、正面からそのありようを問いかけていくことは大事なのかもしれない。この本を使って、そんな議論をするって、大事かもしれないなあ。
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