小沢氏公判 「秘書任せ」で理解得られるか
小沢さんの裁判をめぐっては、良識的だと言われる人のあいだでも、検察の問題を指摘するあまり、小沢さんを犠牲者と見る人が少なくない。だけど、今度の公判でわかったことは何か。ちゃんと見ておく必要があると思う。
読売の社説でさえ次のように書く。
小沢氏公判 「秘書任せ」で理解得られるか(読売新聞)政治資金収支報告書の虚偽記入の疑惑発覚から2年余り。国会で一度も説明することのなかった政界の実力者は、法廷で何を語ったか。
資金管理団体・陸山会の土地購入を巡り、政治資金規正法違反に問われた民主党の小沢一郎元代表の裁判で、最大のヤマ場として注目された被告人質問が、2日間にわたり東京地裁で行われた。
小沢氏は、収支報告書の作成に関し、「すべて秘書に任せていた」「直接関心を持ついとまはなかった」と主張した。
この裁判のポイントは、虚偽記入の実行役として起訴され、1審の東京地裁で有罪判決を受けた石川知裕衆院議員ら元秘書と、小沢氏との間で共謀が成立するかどうかだ。小沢氏の発言は自らの関与を否定するものである。
だが、疑問なのは、小沢氏が収支報告書を秘書任せにしただけでなく、自身の裁判が始まった後も含めて、「一度も見たことがない」と言い切ったことだ。
政治資金規正法は、政治活動が国民の監視の下で公正に行われるようにするため、政治資金の収支の公開制度を設けている。収支報告書は国民に判断材料を提供する重要な手がかりだ。
発言が事実なら、小沢氏は規正法の趣旨を軽んじていると批判されても仕方がない。
小沢氏は常々、「政治資金はすべてオープンにしている」と強調してきた。報告書も見ないで何を根拠にそう言えるのか、と疑問を抱く人も多かろう。
さらに、政治家は秘書に対して監督責任を負っている。それをどう考えているのか。
小沢氏が自ら用意した土地購入原資の4億円の出所については、「親から相続した現金や不動産の売却益のほか、印税や議員報酬だ」などと説明した。
ただ、小沢氏は検察の事情聴取の過程で説明を変遷させており、石川議員らを有罪とした東京地裁判決でも「明快な説明ができていない」と指摘されていた。
小沢氏は法廷で、「その時点では具体的に分かっていなかっただけだ」と弁明したものの、不透明さは拭いきれない。…
まあ、とにかくこの問題は結構ややこしい。くわしくは、今後ていねいに解説されるであろう上脇先生におまかせするとして。
だけど、新聞の報道を読んでいて、ちょっと驚く。「秘書にまかせていた」を連発し、問題の収支報告書は現在でも見ていないと。そして、これまでの発言の食い違いについては、答弁を曖昧化する…。
2つのことが言えると思う。1つは、政治家としての説明責任という点では、決定的に問題だということ。今度の国会では間違いなく、小沢さんの証人喚問が最大の焦点となるべきだということ。
もう1つは、小沢さんが決定的に政治資金規正法の法の精神をふみじにってきたということ。この点では、今度の事件でも司法の判断は注目される。そういうことだと思うなあ。
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