原発と村 Vanishing Village
郡山総一郎さんの最新の写真集。舞台は浪江町、しかも線量の高い津島地区。彼は、原発の爆発後、マグナムの写真家たちが去っていくのを見て、自分がこの写真を撮ろうと決めたという。それは4月から5月にかけて、この酪農の地域で、人が去っていく様を記録する。
写真家には2つのタイプがいると思う。そこにある厳しい事実を重視して、どこまでの被写体に近づいて、その様をとるタイプ。郡山さんがそのタイプだろうな。もう一つは、被写体との距離をとって、あまり踏み込まず、いわば包み込むように、さまざまなやり方で撮るタイプ。これは、渋谷さんが典型だろうな。ボクはどっちもあると思っている。まあ、好きな写真はたしかに前者のほうが多いかもしれないけれども、やっぱり、そこには、テクニックがほしい。ただ前者のほうは、うまい人が少ない。
この写真も、相手の困難にずけずけと入り込んで、コミュニティーが消えていく経過を時系列で撮る。原発が生んだ悲劇の貴重な記録だ。その前後に、時間を置いたポートレートを置く。その写真は、やっぱり郡山さんの人柄かな。本人はいろいろいうだけどうけど。
そういう意味では、写真家のタイプというのは、性格とかいうものではなく、写真についての哲学みたいなものかな。いずれにしても、これはいい写真集であり、原発事故とは何かを問いかけている。
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