どこまで大手メディアは落ちるのか――〈記者有論〉防衛局長発言 問題なのは言葉だけか
沖縄の防衛局長の発言、更迭問題は、なかなかおさまらない。一川さんはやめないようだけど、その背景にはなにがあるのかきになるところだけど、それはさておき、今日は、ネットで、記者懇談会の二次会のことがずいぶん話題になっていた。元噂の真相の岡留さんは、いまは那覇で、飲み屋さんをやっているそうだけれども、彼が、この事件の経緯についてぶろぐで書いている。
…懇親会は防衛局がよく使う若狭にある居酒屋で、会費は一人3千円。参加したのは琉球新報、沖縄タイムス、朝日新聞の那覇総局、NHK沖縄放送局、日経那覇支局、時事通信那覇支局、琉球放送、日本テレビ那覇支局、讀賣新聞那覇支局の9社。共同通信と産経新聞、QAB,OTVは欠席だったという。
問題の不適切発言の時間帯には、沖縄タイムスの記者はトイレか携帯で席を外していたためスクープを逃したのだという(苦笑)。朝日新聞も遅刻して参加したため、問題の発言を聞きのがしている。この田中局長が不適切発言をした時、一緒に笑っていた記者もいたという。田中局長への迎合なのか、鈍感なのか、ホントに面白いと思ったのかは不明だが。その後、田中局長は上機嫌で女性ホステスのいる店に移り、二次会。参加したのは、NHK,朝日、日経新聞、RBCだったという。当然、二次会は防衛局の支払いだ。問題の不適切発言を聞き流した上に防衛局の接待を受けているのだから、新聞記者としては嘆かわしい限りだ。筆者が常々指摘してきた防衛省とメディアの癒着、馴れ合い関係が沖縄でも行われていたことに、少々驚かざるを得ない。…
驚くのは、二次会まで行っていたということ。これは、裏がとれているのかどうかはわからないけど、その二次会は、税金によってまかなわれていたというのだから。いずれにしても、一連の経緯について、ちゃんとした発言をメディアはするべきだ。
ところが、朝日新聞の谷津那覇総局長が、この件について、弁明の記事を数日目に書いていたことも、やはり話題になっている。それがまた醜いのだ。
「なんとも間抜けだが、私は例の発言を聞いていない。では、もし聞いていたら記事にしたか。参加したのが自分ではなく同僚で、そう報告を受けたら『書け』と指示したか。いまこう書くのは大変気が重いが、たぶん記事にしなかったのではないかと告白せざるを得ない。酒の席で基地問題を男女関係に例え、政府が意のままに出来るかのように表現するケースは、防衛局に限らず、時々聞いたことがあるからだ」
これまでも聞いたことがあることが、なぜ、書かない理由になるのだろうか?それだけ、感覚が麻痺していたことを自己弁護しているのだろうか? おどろくのはその後のこと。
「私にとって不快なのは、発言した田中局長よりも、発言の後でも評価書の年内提出を言いのける野田政権の方だ。『事実だったら言語道断』『心よりおわび申し上げる』とトップが言いながら、1日の審議官級協議で米国に約束履行を表明する外務・防衛省の方だ。私に言わせれば、彼らは酔ってもいないのに『それでも犯し続ける』と言っているのに等しい」。ここに書いていることは、あながち間違っているわけではない。だけど、問題なのは、そのことをもって、自分が書かなかったことの理由としていることだ。普通なら、そのように野田政権のやっていることを批判的にみるのならば、その末端で現れている退廃現象をまず捉えて批判するのが普通だろう。結局、この人は、ずっと見て見ぬ振りをするのだろうと思う。
朝日そのものは、民主党政権が、この沖縄の基地の問題で、政策転換をするとき、当時の主筆だった船橋が、繰り返し抑止力として沖縄の基地の必要性を強調し、転換を民主党に迫った経緯が記憶に新しい。きっと、そのときも、この人は、そのことを批判しなかったんだろうなあと思えてくる。
朝日には、信頼する知り合いの記者もいれば、昔からの友人もいる。だけど、こと政治的な面においては、どこまで落ちるのだろうと憤らざるをえない。そう、この総局長は、ほんとうに、二次会に税金で行っていただろうか?
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