あまりにも酷く、切ない――原発事故に立ち向かうコメ農家
日曜日のETV。これもまた酷く、すごい話だった。
原発事故による放射能汚染に立ち向かおうとするコメ農家たちがいる。 福島県天栄村。ミネラル豊富な水源と水芭蕉(ばしょう)が咲く自然豊かな村で、村のコメ農家のグループは、安心で安全な、日本一おいしいコメ作りを目指してきた。そしておいしい米を競う「米・食味分析鑑定コンクール」で3年連続金賞受賞者を出すまでになった。村には東京のデパートや各地の消費者から注文が来るようになり、目指してきた米作りがようやく軌道に乗り始めた矢先の今回の事故だった。
原発の爆発で飛散した放射性物質は先祖代々守ってきた田畑にも降り注いだ。天栄村は福島第一原発からおよそ70キロ。田んぼからは1キロあたり1000ベクレルを越える放射線物質が測定されたが、幸い作付け制限はかからなかった。農家たちは米作りをあきらめなかった。放射性物質による汚染を田んぼから取り除く手立てはないかと専門家の力も借りながら取り組みを始めた。
福島県大玉村でも一人のコメ農家が放射性物質による田んぼの汚染と向き合おうとしていた。集落内の水田からは1キロあたり3000ベクレルを越える放射能汚染が測定された。去年収穫したコメの売り上げも減るなど追い詰められる中、農家は自分の手で原発事故による汚染の実態の一端を明らかにし、責任を問いたいと動き始めた。
放射能汚染と向き合おうとするコメ農家たちの8か月を追う。
静かな怒りが伝わってくる。汚された農地。しかし、謝りもしない政治と東電。しかし、法的には、土壌汚染に放射性物質の規定はないという。驚きの事実。悔しいなあ。
必死でコメをつくる農家の思い。消費者は安全なものしか買わない。その安全なコメにむけて必死にとりくむ農民たちのとりくみ。検査ではNDとされ、コメに吸い取られる状況は最低限くいとめられたのだろうが、だけど、少量の数値は出る。そして土壌汚染の解決のその手立ては見えない。だから、なかなか売れない。それは、風評被害というのだろうか。土が汚染された事実は消えない。福島市や伊達市では、規制値をこえた数値も出ている。
それでもコメをつくるのが、農民の誇り。
絶対に、東電は許せない。政治は、その責任をはたせないのか? 長く続くとりくみとたたかい。悲しく、切ないなあ。
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