貧困への現実認識の欠如――生活保護、求職者支援制度の利用を
戦後最高をカウントしたと言われるが、じつはものすごく使いにくい「安全網」でもある。そもそもいま、現実の貧困層の増大に比して、生活保護の受給者が少なすぎるのだという出発点がない。
生活保護、求職者支援制度の利用を(毎日放送)生活保護制度の見直しに関する国と地方の協議で、「働くことが可能で、国の求職者支援制度を利用していない人については生活保護の停止も検討する」などとした中間案がとりまとめられました。
中間案では、一定年齢以下で働くことが可能とみられる生活保護の受給者に対しては、月10万円の支給を受けながら職業訓練を受けられる、国の「求職者支援制度」の利用を促すことが盛り込まれました。
この制度は今年10月に導入されたものですが、中間案では「制度を利用しない場合には、生活保護の停止も検討することが適当」としています。
しかし、生活保護の受給者を支援する市民団体などは中間案について、「制度を利用するよう強要し、生活保護から締め出す動きが強まるのではないか」といった懸念を表明しています。生活保護受給者は今年8月時点でおよそ206万人を突破し、過去最も多くなっています。
ただ求職者支援制度そのものにかかわって大きな論点になったようで、この点について、生活保護問題対策全国会議が厳しく懸念を表面している。
しかし、「中間とりまとめ」が、生活保護受給者が「求職者支援制度」の職業訓練を合理的理由なく中止し、福祉事務所が指導しても復帰しない場合には保護の停廃止を可能とすることを提言した点は、以下の理由から大きな問題があり反対である。
第1に、求職者支援制度の運用は、本年10月の本格実施に伴い異常に厳格化されている。例えば、8割以上の出席が義務付けられ、一度でも合理的理由なく訓練を欠席したりハローワークの就職支援を拒否すると給付金が不支給となり、これを3回繰り返すと初日にさかのぼって給付金の返還を命じられるが、別居の親族の危篤や葬儀は除外されるなど「合理的理由」が厳しく制限されている。こうした「合理的理由」の判断が福祉事務所の指導指示と連動すると、体調の悪化や訓練内容のミスマッチなどやむを得ない理由で訓練を欠席した者まで命綱である生活保護を打ち切られることが大いに懸念される。
第2に、通知等の出し方をよほど配慮しない限り、求職者支援制度の活用が事実上保護の要件とされかねない。しかし、同制度は本年10月に始まったばかりで、訓練メニューも未だ十分ではなく地域によっての偏りも大きい。このように、すべての生活保護受給者のニーズに合った訓練メニューが用意されているとは到底言えない現状において、求職者支援制度の利用を強要して受給者を不当に生活保護から締め出す動きが強化されかねない。
第3に、上記提言は、生活保護法4条1項が定める稼働能力の活用を怠るものとして指導指示違反による保護の停廃止を認めるものと思われるが、こうした考え方は、法理論上も大いに疑問がある。なぜなら、稼働能力活用の意思があり、その努力をしても活用の場(仕事)が見つからなければ稼働能力活用要件を満たすものと解されているところ、求職者支援制度の訓練を受けないということが直ちに稼働能力活用の意思がないということにはならないし、活用の場(仕事)があるということにもならないからである。
したがって、私たちは、求職者支援制度の活用については、それが不当な義務付けとならないよう、当事者及び支援者の意見を十分に聞いて制度設計を行うよう、改めて求めるものである。
議論の仕方が、削減先にありきだから、この指摘は、大事な点だと思う。
だけど、メディアではとりあげないなあ。社会保障のあり方の根幹にかかわる問題にもかかわらず、特別な人の問題として扱われていることもちょっとね。
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