証言記録 日本人の戦争 第1回 アジア 民衆に包囲された戦場
今夜のNHKスペシャル。
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太平洋戦争開戦から70年。戦争証言プロジェクトでは、戦争体験者の証言を4年にわたり収集してきた。その数は、元将兵や市民を合わせ、800人以上にのぼる。証言の大半を占めるのは、無惨で生々しい「死」の記憶である。日中戦争から太平洋戦争に至る“昭和の戦争”の死者は、日本人だけで310万人。この夥しい死は、単に軍部の誤った戦争指導によってのみ、もたらされたのではない。“昭和の戦争”は国民の圧倒的支持を受けて始まった。その中で、日本各地の村々から大量の兵士たちが戦場に送り込まれていったのである。近年、こうした総力戦の実態を示す資料の発掘が各地で進められている。長野県の村に残る、戦死者の村葬の詳細な記録。そこには戦死者を“英霊”として称え、遺族に対して手厚い援助を行い続けた村の姿がある。そこから浮かび上がるのは、兵士の「潔い死」を美徳とする「故郷」の姿である。第1回は、常時数十万を超える大量の兵力が動員された“大陸”を舞台に、戦場と銃後が一体となって推し進めた“昭和の戦争”の実像を証言で記録する。
NHKがここ数年手がけてきた証言記録のシリーズの集大成という位置づけなのだろうか。たしかに、熱意は伝わってくる。ただ、ちょっと説明的すぎる印象だった。証言がぶつぎりで、証言者の思いも伝わりにくい。
兵士の人たちが、どう戦場に行ったのか。その戦場での孤立とはどういうものだったのか。なぜ、日本軍は残虐な行為をしたのかは語られてはいる。兵士のありのままの視線で、描いているのは大事なことだとは思う。だけど、NHKがつくられると、どうしてもそこにいたる経過が欠落する。この戦争の意味や姿が見えてこないのだ。そこがNHKといえばそうなのだけれども、難しいところ。
この集大成が意味があるものかどうかは、明日の第2回に持ち越しかな。もっとも、証言記録が明らかにしたテーマでもあるので。
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