いま、先生は
昨年、朝日新聞で連載されていたころ、とっても話題になっていた。ちょうど、「しんぶん赤旗」でも同じ主題の連載があったけど。その朝日の連載を、大幅に加筆して、読者からの反響もあわせて、一冊の本になった。氏岡さんの渾身の一冊かな。
やっぱり、読んでいると、涙がとまらない。なぜ、教師たちはここまで必死で働き、追い詰められなければいけないのかと。職場に気持ちを残しながらさっていく教師、志なかばで倒れていった教師、自死する教師、心を病む教師、若い教師の苦悩はやはりいちばん心に刺さる。
だけど、何度もその議論はこの本のなかでも出てくるが、そのしんどさは教師だけではないという思いはだれもがもつことでもある。たてば、職場をさった教師には、教師はやめることができる条件があるからという思いをもつ。いまの時代、多くの人に、耐えがたい困難がのしかかり生きづらさを抱えていることは、否定ができない事実。そのことはふまえながら、共感し合えるような議論をしなくてはいけない。それが、当事者を傷つけることになっても、その点の議論が未成熟なのはそうだ。
だけど、そうであっても教師の問題は特別でもある。それは、子どもとともに生き、子どもの成長を支え、促す仕事であるからだと思う。その教師の特別な仕事が、歪め、ふみにじられる。教師が尊敬される、絶対的な権威のあった時代が終わったというのはそうだ。ならば、教師の仕事はどのように尊重されるべきなのだろうか。現実には、いかに歪め、ふみにじられているのかを静かに告発している。
そうした取材の努力のうえで、あえて、政策的な分析にはふれない。あえて、目の前にある「先生のいま」で勝負をするということ。同時に、この本をうけて、背景にある、社会の変容について、子どもの変容と困難についてまず考えたい。実は、子どもの問題は、この本ではほとんど議論されていない。そのうえで、この間の、教育政策が、「教育改革」なるものが、いかに教師を苦しめ、追い詰めてきたのかが明らかになるのだと思う。
どうすれば、教師が成長し、子どもたちに向き合えるのか。その答えは、やっぱり、難しい問題だと思う。若い教師の成長に、きっとその答えがあるとすれば、もっともっと若い教師の言葉に、耳を傾けたいと思うなあ。
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