県、新たな協議を提案 文科省は従来の見解
八重山毎日の続報です。
県、新たな協議を提案 文科省は従来の見解(八重山毎日)八重山地区教科書問題をめぐり、県教育委員会(大城浩教育長)は10月31日、文部科学省との面談で、これまでの指導の一貫性から無償措置法に基づく協議の場の開催を国と県が求めるよう提案した。文科省は八重山採択地区協議会の協議結果を優先する考えに変わりなく、議論は平行線をたどった。
県教委は、教科用図書八重山採択地区協議会の規約に3市町が異なる採択をした場合の決定方法が定められていないことが問題解決を遅らせている原因と指摘。無償措置法の運用の誤りから生じた問題として「県教委と文科省が無償措置法13条4項の協議の開催を求めさえすれば一本化は直ちに可能と考える」と提案した。
県教委は文科省が9月8日まで「協議して一本化せよ」との方針を容認したとして、同方針に基づいて9月8日の「全員協議」の開催を県教委も容認、必要な指導助言を行ったとし、仮に全員協議が無効だとしても「指導の一貫性から次の手続きとしても新たな協議の設定による一本化でなくてはならない」と主張した。
一方、文科省は、協議会の協議結果(答申)に基づいて採択を行った教育委員会(石垣市、与那国町)には無償給付できるが、協議結果に基づかない竹富町教委には無償給付の対象にならないとの見解をあらためて示した。■文部科学省の見解
◎地教行法23条6号は、教科書の採択について地方公共団体の教育委員会が行うとされているが、無償措置法第13条4項は同一採択地区内の教科書については採択地区委内の市町村教委が協議して種目ごとに同一の教科書を採択しなければならないと規定されている。
◎したがって、採択地区内の市町教委が協議の結果と異なる教科書を採択した場合について、国の行う教科書の無償給与については無償措置法の趣旨・目的に照らし、文科省としてどのように対応するか判断する必要がある。
◎文科省としては県教委に対し、八重山採択地区内の市町教委が規約に従ってまとめられた結果に基づいて、公民についても同一の教科書を採択することを指導するよう求めてきたが、なお同一の教科書を採択するに至っていない。
◎現時点の状況では8月23日の八重山採択地区協議会の答申および8月31日の協議会役員会の再協議の結果が「協議の結果」であり、それに基づいて採択を行った教委(石垣市、与那国町)に対しては教科書の無償給与をすることになるものと考える。
◎協議の結果と異なる採択をした場合、無償措置法の規定に反することになるが、それをもって採択行為が無効とまでは言えないが、国の無償給与の対象にならない。このため、竹富町については国の無償給与の対象にはならないが、地方公共団体自ら教科書を購入し、生徒に無償で給与することまで、法令上禁止されるものではないと考える。
これが文部科学省の出したペーパー。「1.docx」をダウンロード
つまり、いろいろ理由をつけているけれど、無償措置法違反だから竹富は国の無償の対象にはならず、町で無償化をおこなってくださいというもの。義務教育の無償についての国の責任をまったく投げ捨てるものにほかならない。こんな議論がとおるはずがないでしょう!沖縄の新聞は、いっせいに抗議しているけれども、琉球新報が言うように、「憲法26条は無償での義務教育を定めるほか、教科書無償措置法は、無償給付する主体を『国』と定めている。」ことを文部科学省はどう考えるのか。自民党のタカ派政治家にここまで屈服するのか。
ちなみに、八重山毎日が紹介する県教委の見解は以下の通り。
■県教育委員会の見解
◎八重山採択地区は協議会を諮問機関と位置づけており、「協議の規約に従ってまとめられた結果」とは教委の採択権を拘束しない答申である。規約は、答申を最終決定(採択)としていない。
◎協議会規約は3市町が異なる採択をした場合、最終的に決定する方法を定めていず、そのことが問題の解決を遅らせている。すなわち、特別法と一般法の矛盾から生じた問題ではなく、無償措置法の運用の誤りから生じた問題。例えば「3市町の教育委員全員の投票で決する」などを定めていれば、現在の混乱は生じなかった。
◎3市町教委の異なる採択が生じた場合、一本化を図るための手段としては、新たに協議の場を設定する以外にない。
◎文科省が発した「協議会の規約に従ってまとめられた結果を基本に地区内で同一の教科書の採択を促す」とした指導助言が、「県教委が竹富町教委を指導し、竹富町にI社教科書を採択させるべき」と受け止められ、協議の場の設定を困難にしている。
◎「協議会の規約に従ってまとめられた結果」に法的拘束力はなく、県教委がその「結果」に従って採択を行うよう1町教育委員会に求めることは無理がある。
◎一本化を諮るための手段としては、新たに協議の場を設定する以外になく、その協議の中で、答申および全員協議の有効性を含めて協議し、結論を導き出す以外にはない。そのためには県教委、文科省が3市町教委にあらためて協議を求める必要がある。
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