ブラック企業に負けない
POSSEという若者のグループが、自分たちの手で調査し、その実態を明らかにした。
ほんとうに、ひどい状況が広がっている。去年だったか、ブラック企業を舞台にした映画もつくられたけれども、働く者を徹底してモノとして扱い、心も、体も、破壊していくような企業だ。労働相談などをもとに、そのブラックのぱたーん(入社後の選別、残業代を払わない、月収を誇張する、新卒の使い捨て、退職時の嫌がらせ、戦略的パワハラ、職場崩壊)などを明らかにしていく。就活との関係で、直視する必要があるだろう問題が、「自己分析」を試験の中心的な課題にしている問題。わけのわからない自己分析によって、学生たちは自己責任を強いられていくというメカニズムがつくられる。労働法などの駆使した対処法は、すぐにでも使えるものだと思う。
しかし、なぜこのようにブラック企業は増大したのか。この本では、「代わりはいくらでもいる」労働市場の問題と、企業の命令が絶対化される一方での終身雇用の崩壊をあげている。もう少し突っ込んで言えば、ひどい状況に直面した時に、やめても(働かなくても)生きていけるような条件がないこと、つまり社会保障の問題と、ひどい労働を強いる企業をコントロールできない問題、これは法律のレベル、つまり政治のレベルと、会社との力関係、つまり労働運動の力ということが大きいと思う。とくに後者はいまほんとうに考えるべき時点にあるとも思うけど。
ほんとうに、若者の雇用と労働の状況は、考えられないほど、ひどい状態にある。いろいろ言われてきたけれど、現実は、想像を超える。しかし、そこには大きな矛盾があっても、なかなかその打開の方向が見えてくるわけではない。もちろん変化もある。それが、そういう労働運動の活性化などに本格的にどうむすびつけていくのか、ここには考えなきゃいけない問題があるし、大きな課題だと思うなあ。
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