公民、実質審議なく投票 2委員の意見表明のみ、地区協議会の会議録公開
八重山の続報です。
公民、実質審議なく投票 2委員の意見表明のみ、地区協議会の会議録公開(八重山毎日)来年度から4年間使用される中学校教科書を選定した8月23日の教科用図書八重山採択地区協議会の会議録が4日、音声記録とともに公開された。市情報公開条例に基づき本紙が9月20日付で行った請求に、石垣市教育委員会(玉津博克教育長)が公開した。教科書名を伏せたまま議論が行われていたことが正式に確認され、議事日程にある「意見交換」とはほど遠い内容。教科書の中身を比較検討するはずの「協議」から乖離(かいり)している実態が浮き彫りになった。公民分野で発言したのは2委員のみ。投票後に議論になるという本末転倒の事態を招いている。
社会科(地理、歴史、公民)の教科書は3人の調査員(教員)が6月28日から7月29日までに計9回、延べ32時間にわたって調査研究した結果、公民分野は「推薦したい教科書」「特徴・特色の教科書」にいずれにも東京書籍と帝国書院を挙げた。育鵬社は、その他の観点から14点のマイナス評価がついた。
協議は、委員2人が教科書名を言わずにどういう観点で選んだかを述べるだけ。その他に意見はなく、審議は6分で終了。投票の結果、育鵬社が8票のうち5票を集めて選定された。
会議録によると、次の分野に移ろうとすると、委員から「育鵬社はマイナスの評価が多いのになぜ選定されたか」と待ったがかかる。玉津会長は「もう投票は終わりました。決めるのは私たちです」と制止するが、なお納得がいかない同委員は食い下がり、しばらく議論が続いた。しかし、結果は決まっている。玉津会長は「蒸し返しになるので、これは取り消してください」と議論に終止符を打った。
協議会は9教科15教科書を選定したが、公民分野だけが調査員の意見を反映しない結果に。玉津会長が繰り返し強調していた「委員の責任と権限」は実質的に同分野で発揮されたことになる。推薦外図書の選定状況を確認しようとする委員に玉津会長は「確認して何をしようとしているのか。確認をしないで下さい」と発言を制止し、「推薦があったかどうかを含めて一切口外しないように」とクギを刺して会議に幕を下ろした。
会議録では、委員8人のうち3教育長の氏名のみ公開され、5人の委員は「委員」とだけ記されている。
いかに、政治的に、合意なやり方なのかがよくわかるような議事録のよう。いま、手配中。
一方で、司法の場にもこの問題はとりあげられることになる。
八重山教科書 保護者と2小学生、石垣市教委を提訴へ(琉球新報)来年度から中学校で使用する公民教科書の採択が同一地区内で割れている八重山教科書採択問題で、将来、石垣市教育委員会が採択した教科書を使用する予定の石垣市内の小学生2人とその保護者らが、石垣市教委を相手に東京書籍版公民教科書の無償給付を確認する行政訴訟を提起する意向を固めた。保護者を支える市民が原告団を組織し、来週半ばにも那覇地裁に提訴する。教科書採択手続きの是非を問う行政訴訟は全国で初めて。
裁判を通し、育鵬社版を選定した教科用図書八重山採択地区協議会や、石垣市教委の行政手続きの問題点を明らかにしたい考えだ。
原告団は育鵬社版を選定した教科用図書八重山採択地区協議会の答申に法的拘束力はなく、東京書籍版を採択した竹富町教委の判断は違法性がないと説明。公民教科書の一本化に向けて9月8日に開催された八重山の教育委員全員による協議で採択された東京書籍版が有効だと主張する。
育鵬社版を採択した玉津博克石垣市教育長と与那国町教委は全員協議への参加に合意がなかったとして文科省に無効文書を送付。文部科学省はこの文書などを基に全員協議が「整っていない」と判断している。
一方、原告団の井口博弁護士は全員協議の採決に教育委員13人中11人が参加したことで、定足数を満たし協議が成立していると主張。さらに各教育委員会から過半数の委員が採決に加わっていることから、教育委員会の同意を得られたと考えている。協議会の答申や、役員による再協議が有効で、竹富町教委が無償給付の対象とならないとした文科省の見解についても誤りと指摘している。
裁判は小学生の保護者が代理人として参加する。保護者が中心となって原告団を構成し、市民以外からも参加を募る。
沖縄はあきらめないのです。
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