重い障害を生きるということ
障害者運動の大先輩でもある高谷さんの新著。一気に読みました。
少し前、「この人たちに人格があるのか」という暴言をはいた知事がいた(いまもいる)。この本でとりあげているのは、重い身体障害と精神障害とを併せ持って生まれた「重症心身障害児(者)」と呼ばれる人びとだ。脳がない状態でも「笑顔」を見せる彼ら。その姿から、生きるということはどういうことか、人間とは何かを問いかける。
医学が進歩をすれば、いやその進歩を支えているのは、そのことによって、命を救われる重度の障害者だということもできる。彼らは、その懸命に生きる姿、それを支える人たちとの間の生活の姿そのもので、生きる意味を問いかける。それは、まさに「この子らを世の光に」ということなのだとも痛感させられる。もう感動的。そのとりくみが、ノーラライゼーション、インクルージョンへと連なっていく。
そういう障害観、障害ある人への見方を変えていったのは、糸賀をはじめとした先達だ。彼らがつくったものは大きい。だけど、一方で、かつて人の権利として切り拓いた地平が、いまはかくも崩されてきたのかという思いも否定で、いない事実でもある。障害児学校では、労働力となり、納税できる卒業生をつくることが使命になったりしている。世界はそんな方向にはいっていないのに。権利条約時代の、そんなせめぎ合いのなかに、障害をめぐる問題がある。
これからのあるべき議論はどういうものか? もう一度、しっかり考えて見たい、そういうことを考えさせられたりする。
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