カクテル・パーティー 占領下の悲劇 ハワイ上演へ
原作の小説は、ちょうど、これまではなかなか手に入らず、読むことができなかったのだけれども、最近になって、岩波の現代文庫で再刊されたばかり。
占領下の悲劇 ハワイ上演へ沖縄初の芥川賞受賞作として知られる小説「カクテル・パーティー」が舞台化され、近くハワイで上演されることになった。今年で七十年となる真珠湾攻撃にまつわる逸話も盛り込まれており、現地の注目を集めそうだ。 (中村陽子)
同作は、占領下の沖縄で、米国軍人から暴行された娘を持つ主人公が、不利を覚悟で提訴を決意する経緯を描いた。著者で、現在も那覇市在住の大城立裕(たつひろ)さん(86)は一九六七年、同作で芥川賞を受賞した。
大城さんが戯曲化に取り組んだきっかけは、九五年の米スミソニアン航空宇宙博物館での原爆展。広島に原爆を投下した爆撃機「エノラ・ゲイ」の機体とともに、被爆の実態も展示する企画が退役軍人らの猛反対によって資料が省かれ、大論争となった。「アメリカ人は真珠湾の『被害』ばかりを強調しがちだが、戦争は誰しも加害者であり被害者でもある。芝居にすれば、その感覚を分かってもらえるだろうと思った」(大城さん)
戯曲には、登場人物それぞれが抱く「正義」や、過去の加害・被害体験が交錯する。原作にはない新たな創作として、主人公の娘が米国人弁護士と結婚したという後日談などを盛り込んだ。「六〇年代と九〇年代の時代状況を対比させることで、説得力が増すと考えた」と大城さんは言う。
書き上げた当初は発表する予定はなかったが、内容に感銘を受けた琉球大教授の山里勝己さんが英訳。二〇〇九年ごろ、一緒に文学選集を作っていた縁でハワイ大教授のフランク・スチュワートさんに紹介したところ、一気に公演が具体化した。スチュワートさんは「正義や罪悪感、許し、そして国家間の相互理解について、深い考察がなされている。より多くのアメリカ人が見るべき作品」と評価する。…
原作そのものも、後半は会話形式になっているから。米軍と沖縄、沖縄と日本、日本とアジアという関係のなかで、暴力と抑圧を問いかける。臭いものに蓋をする、そうした姿を強く告発するのだけれども。だけど、戯曲は、新しい話がくわわっている。これは、ちょっと見てみたい気がする。というか、戯曲を読んでみたいと思うなあ。
« 前宜野湾市長、メア氏を告訴へ | トップページ | 八重山教科書:文科相「竹富町は有償給付」 »
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 絵本作家のいわむらかずおさんが逝去 フジテレビ労組、組合員が急増 専務が労組とのやり取りで辞意表明(2025.01.23)
- ハン・ガン ノーベル文学賞受賞記念講演「光と糸」(2024.12.20)
- 劇団タルオルムの「マダン劇 島のおっちゃん」(2024.12.07)
- 各社序盤情勢、自民への反発大きく にじむ既存政党離れ(2024.10.17)
- ノーベル平和賞に日本被団協 被爆者の立場から核兵器廃絶訴え(2024.10.11)
「平和」カテゴリの記事
- 今日は3月10日。東京大空襲から80年。(2025.03.10)
- 前衛4月号ができています。(2025.03.09)
- ゼレンスキー氏「ウクライナに耳を傾けて」、会談決裂から一夜明け(2025.03.01)
- 世界中で人権が「窒息」 国連事務総長が危機感(2025.02.25)
- 30代の支持率、自民が3番手に転落 国民民主、れいわの後塵拝す 産経・FNN合同世論調査(2025.02.26)
「政治」カテゴリの記事
- 戦後最大の生活保護減額は違法、京都訴訟で逆転 6件目の高裁判断(2025.03.13)
- 78歳父親に執行猶予付いた有罪判決 “被告だけ責めるのは酷”(2025.03.12)
- 『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(2025.03.11)
- 今日は3月10日。東京大空襲から80年。(2025.03.10)
- 前衛4月号ができています。(2025.03.09)
「沖縄」カテゴリの記事
- 政府が検討する「能動的サイバー防御」の骨格と課題(2025.01.09)
- 沖縄米兵、不同意性交致傷の疑いで書類送検 「再発防止」うたう中で(2025.01.08)
- 牛島司令官の辞世の句を再掲載 陸自第15旅団、公式サイト更新(2025.01.04)
- 「当たり前の安心な暮らし」要求 沖縄県民大会に2500人参加、米兵による少女への性的暴行事件に抗議(2024.12.22)
- 経済の研究会、「学校の「男性性」を問う トークイベント」 [社説]暴行米兵に懲役5年 少女の勇気に応えねば(2024.12.14)
「歴史」カテゴリの記事
- 今日は3月10日。東京大空襲から80年。(2025.03.10)
- 「政府に従属する組織になる」 学術会議任命を拒否された岡田氏(2025.02.16)
- 産業遺産情報センター(2025.02.10)
- ソウルの春(2025.02.05)
- 「崩れゆく世界遺産 軍艦島を守れ~閉山50年 よみがえる生きた証~」(2025.02.02)
コメント