居場所の社会学 生きづらさを超えて
バイク便ライダーで有名になった阿部さんの新著。「居場所」を論じたもので、この居場所っていうのも、なかなかその定義からして難しい。だけど、論じていることは、そんなに極論ではない。むしろ現場ではあたりまえのように語られていることであったりする。
いまの時代は、さまざまな問題が個別の個人的な問題として表出する。それをどう考えるのかは、やっぱり個別の問題への検討を通してこそはじめて可能になる。そういう意味で、個別の問題に徹底してつきあおうとするそういう姿勢は、こうした社会学的な検討から学ぶべきだと思う。しかも、阿部さんの文章は、社会的に批判的な視線もある。
だけど、そういう分析は、やっぱりある側面についての分析にとどまっていて、その問題は、社会的にはどういう位置にあるのか、そういう社会全体の構造のなかでどうとらえるべきなのかなどはやっぱり不満でもある。だけど、やっかいなのは、その当事者にとって、社会全体のなかで問題をとらえるということはとても難しいことだ。それは、ある種の答えをもちこんで、議論することは容易だけど、それでは心に響かない。そういう意味では、個別の問題からの議論を、一つひとつ積み重ねるなかで、そういう社会への認識をいっしょになって深めていくということしかないのだろうなあ。そういうことも考えさせられる。具体的な居場所の問題は、まあ、横に置いて置くけれども。
あと、Jポップの歌詞の分析の対談はおもしろかった。80年代に青年向けの雑誌をやっていたときに、当時のいまでいうJポップ(なんて呼んでいたのかなあ)の歌詞の分析なってやったことあったなあ。あまり、ちゃんと歌詞までチェックしていなかった最近の歌をまじめに読んでみるのもなかなかおもしろかった次第。
« 福島原発事故から考える―国家と犠牲 | トップページ | 概算要求:文科省、学校耐震化に2325億円 »
「音楽」カテゴリの記事
- 辺野古の抗告訴訟、住民の原告適格認める 福岡高裁 と 「奇妙な果実 怒りと悲しみのバトン」(2024.05.15)
- 籠城2日目は(2022.11.24)
- 「OKINAWA ジャーニー・オブ・ソウル」(2022.05.26)
- 強制収容所のバイオリニスト―ビルケナウ女性音楽隊員の回想(2017.03.21)
- 居場所の社会学 生きづらさを超えて(2011.09.30)
「教育」カテゴリの記事
- 河野大臣「自由に働き方を決められる制度が大事」 希望者には“勤務時間の上限廃止”も 働き方の規制緩和を表明(2024.09.05)
- 小1の不登校が2年で倍増 「幼・保・小」の連携で対応(2024.09.01)
- 自衛隊、宮古・八重山や奄美に新拠点検討 2025年度の概算要求 訓練場や補給の適地有無を調査 2027年度には那覇に対空電子戦部隊(2024.08.31)
- 2学期がはじまっています(2024.08.29)
- 寄宿舎廃止後の充実策「根拠ない」「働き方改革に逆行」 識者が指摘(2024.08.27)
「読書」カテゴリの記事
- 「歴史抹殺の態度を変えさせなければ」8月31日に都内で関東大震災朝鮮人・中国人虐殺犠牲者の追悼大会(2024.08.25)
- 木原稔防衛相、終戦の日に靖国神社に参拝 韓国「時代錯誤的」と反発 :「ニライカナイには行けない」(2024.08.15)
- 9月号ができています(2024.08.12)
- 『沖縄県知事 島田叡と沖縄戦』と「島守の塔」(2024.07.28)
- 保護者「性急過ぎる」 那須と栃木の寄宿舎、年度末閉舎 方針に戸惑い(2024.07.11)
「政治」カテゴリの記事
- 河野大臣「自由に働き方を決められる制度が大事」 希望者には“勤務時間の上限廃止”も 働き方の規制緩和を表明(2024.09.05)
- 沖縄県の原告適格性、二審でも認めず 県は上告を検討 高裁那覇支部 新基地建設を巡る県と国の14訴訟で最後の係争案件 玉城デニー知事「残念」(2024.09.03)
- ほんとに、総選挙はいつになるのか(2024.09.02)
- 小1の不登校が2年で倍増 「幼・保・小」の連携で対応(2024.09.01)
- 自衛隊、宮古・八重山や奄美に新拠点検討 2025年度の概算要求 訓練場や補給の適地有無を調査 2027年度には那覇に対空電子戦部隊(2024.08.31)
「若者」カテゴリの記事
- 給食ない夏休み「恐怖」 過去最多2921の困窮家庭へ緊急食料支援(2024.07.25)
- 「命と向き合った日々」(2024.07.07)
- 深夜の東大安田講堂前に学生100人集結、警察官臨場も… 授業料値上げを巡る「総長対話」の一部始終(2024.06.24)
- 東京大学 授業料引き上げを検討 学生らの団体 撤回を訴え(2024.06.14)
- 来春卒大学生の採用面接解禁 既に内定率78%、進む形骸化(2024.06.01)
コメント