やがて来たる者へ
今日は朝と夕方に印刷所でグラビアの刷りだし立ち会い。あとは、編集部で実務。これがまたたまっているんだなあ。毎月同じだけど、一日中、実務をやっている感じ。うーん。
さて、試写を見た映画。イタリアでドイツ軍がパルチザン掃討を目的にした住民を虐殺した”マルザボットの虐殺”。映画とは関係はないが、この事件をおこしたSSが裁かれたのは、実はまだ4年前のことである。戦争犯罪の重さを考えるうえで、これもおどろきの事実である。
さて、映画は、8歳の少女の目をとおして描かれる。
1943年12月。イタリア北部の都市ボローニャに程近い小さな山村マルザボットのモンテ・ソーレ。人々はブドウを育ててワインを作り、牛を飼って暮らしていた。このころ、ドイツ軍とパルチザンの攻防が激化し、この村にも戦争の影が徐々に迫ってきていた。両親や親戚と暮らす8歳のマルティーナは、大所帯の農家の一人娘。生まれたばかりの弟を自分の腕のなかで亡くして以来、口をきかなくなっていた。
ある日、母のレナが再び妊娠し、マルティーナと家族は新しい子どもの誕生を待ち望むようになった。都会で働いていた美しい叔母ベニャミーナが、戦火を避けてこの家に帰ってきた。また、ボローニャから疎開した家族がやってきて、マルティーナの家に寄宿した。 戦況はいよいよ悪化し、ドイツ軍が出入りするなか、地元の若者たちは密かにパルチザンとして抵抗を続ける。幼いマルティーナにはどちらが敵で、どちらが味方かよくわからない。そして両者の緊張が高まるなか1944年9月29日、ドイツ軍がパルチザンを掃討する作戦を開始する―。
事件の記憶がヨーロッパではきちんと刻まれている。だけど、それはアジアでも同じだろうなあ。日本軍に虐殺された中国や朝鮮・韓国では、事件が刻み込まれていると考えるべきだろうな。だけど、日本は加害を忘却するだけではなく、国民に苦難を強いたことそのものの忘却している。
少女マルティーナの目でみる日常、そして、戦争。はやりの手法と言えばそうだけれども、それでも見るものを引き込む。
ラストのマルティーナの歌声は、ただただ絶望の中の光・希望なのだろうか。希望なんて軽々しく言えない。明日の見えない毎日のなかでの、「考えるんだ。子どもたちにいったい何を残せるのか」の言葉は、とても重いものだった。
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