去る13日の発言撤回と3市町臨時教育委員会協議の決定を確認する要請書
八重山の重大な事態を考えるうえでの資料をアップ。
まずは、問題の文科省の「通知」は強く、地区協議会の答申をにおわしているようにも見えるが、具体的には、「重山採択地区協議会の規約に従ってまとめられた結果に基づいて」としか言っていない。これ以上の発言は、介入につながると考えたのだろうか?
だからこそ、もう1度経過をふり返るうえでは、八重山の住民の会の要請文が参考になる。
文部科学大臣中川正春様
去る13日の発言撤回と3市町臨時教育委員会協議の決定を確認する要請書去る9 月8 日開催の八重山3市町(石垣市教委、竹富町教委、与那国町教委)の全教育委員13人で構成する八重山地区教育委員協会臨時総会は、教科書無償措置法第13条4項に基づく「協議の場」が設定されました。そのことは、3市町教育委員会を指導する立場にある県教委の義務教育課長から「この場で一本化が図れるよう皆さんの責任と権限のもとに協議をして頂きたい。県としても交通整理の役を果たしていく」との発言を受け、八車山地区教育委員協会臨時総会を改め、その場を教科書無償措置法13条4項に基づく「同一教科書採択のための協議の場」とする合意がなされ、そのための臨時教育委員会に切り替えたものです。
そもそもこの臨時教育委員会を開催せざるを得ない状況に至った経緯は、八重山採択地区協議会の会長を務める玉津博克石垣市教育長の会運営に大きな問題がありました。まず、玉津会長は協議会の役員会を経ずに調査員を任命し、その上で教科書への順位付けを廃止しました。また、協議会の構成メンバーに学校現場を理解する各教委の指導課長を外し、8人中6人を教育委員で占めるという歪な構成の協議会にしました。さらに、協議会の教科書選定過程でも調査員の推薦した教科書ではなく協議会委員による無記名投票で責任を不明にしたまま育鵬社の公民教科書を選定したのです。公正・公平な手続きと説明責任を求めた私たちの要求に対して、玉津教育長は未だに回答を寄こしていません。
八重山採択地区協議会は3市町教育委員会から教科書選定の諮問を受け、その結果を3市町教委へ答申するための機関であって、採択の決定機関ではないことと、その答申が各教育委員会の採択権を拘束するものではないことは周知のことであります。しかし、玉津市教育長と崎原用能与那国町教育長は、この3教育委員会委員による「協議の場」の冒頭からあたかも採択地区協議会による答申が、3市町教委の採択権を拘束するかのような発言を繰り返し、協議の場における合意形成を図る意思も全く見せることがありませんでした。その結果その場が採決による方法しか残されていない状況になったとの理由で、玉津氏は一時退席(約1時間)、崎原氏はボイコット(職場放棄)をしました。
協議直前に玉津教育長は、文科省に対し「教科用図書の無償措置に関する法律に基づく答申と地教行法による採択とが合致しない場合、最終的にどの法律が優先されるかご教示願いたい」旨の照合を行いました。この旨の照会をこの時点で行ったことは、「両法の法的構造に無理解であること及び協議会の答申に法的拘束力があるとの誤解から生じたものである」との弁護士の指摘もあるように、玉津教育長はその重要な点を誤解したまま「協議の場」に臨んだことになる、と思料されます。
そのような状況の中では、全員の合意には至らなかったものの、採決によって育鵬社版の中学校公民教科書を不採択とし、あらためて東京書籍版の中学公民教科書を3市町教育委員によって一本化にすることができました。それも無償措置法10条にある、県教委区委員会の適切な助言、指導又は援助のもとに行われたものです。
こうした3市町全教育委員による採択協議終了後もこの結果に納得せず、玉津教育長は「法的根拠はない」と今なお述べ、市教委の議を経ることなく勝手に沖縄県教委と文科省へ「無効」との通知を翌9日に発出しました。与那国町の崎原教育長は8日のその日の内に出しております。この通知文が教育委員会の議を経ず、さらには教育委員長の決済もないままに公務文書としての扱いで、文科大臣の判断材料となったことに対して地元住民はもとより沖縄県民は、4年前の高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決」における軍命削除の検定意見を付された時を思い出し、怒りの炎となって島々に燃え広がろうとしています。玉津氏はまた市教育長という教育行政の責任ある地位にありながら、教育委員会が教育委員長を最高責任者とする組織であることを忘れて、去る13日には自民党の文部科学部会と日本の前途と歴史教育を考える議員の会合同部会に臨んだことが明らかになっています。
八重山の全教育委員によって最も民主的な方法でなされた「一本化への努力」を国会の場に持ち込み、文科省や県教委をトップダウン方式で揺さぶろうと考えているとすれば時代錯誤も甚だしいといわざるを得ず、私たちは玉津教育長の一連の非民主的な言動に対し一層強い不信感を抱いているところです。
中川大臣におかれては以上の経緯から、当地八重山の状況をしっかり踏まえて頂き、さる13日の「協議は整っていない」旨のご発言を撤回され、あらためて8日の3市町臨時教育委員会における「採択」が無償措置法第13条4項に則ったものであることを確認していただきたく要請いたします。2011年9月15日
子どもと教科書を考える八重山地区住民の会
政治的な圧力から、教育を守る正念場である。
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