政治の教育関与や職員の免職明記 大阪維新の会が条例案
橋下知事らが、何かものすごいものを出してきた。
政治の教育関与や職員の免職明記 大阪維新の会が条例案(朝日新聞)大阪府の橋下徹知事が率いる地域政党「大阪維新の会」は22日、大阪府・市の9月議会に、教育行政への政治関与を明記した「教育基本条例案」と、職務命令違反をした職員や組織再編に伴う過剰となった職員を分限免職にできる「職員基本条例案」をそれぞれ提出すると発表した。
維新の会は両議会で議論を重ね、来春までに2条例の成立をめざす。橋下氏は11月の大阪市長選に合わせて知事を辞職し、知事・市長のダブル選に持ち込む方針で、条例案を選挙の争点とする狙いもある。
教育基本条例案は前文で、教育行政のなかで「政治が適切に役割を果たす」と明記。知事や市長が学校が実現すべき教育目標を設定し、教育委員が「目標を実現する責務を果たさない場合」は罷免(ひめん)できると定めた。また、校長に現場の責任者として幅広い裁量権や予算要求権を認め、教職員には「校長の職務命令、経営指針に服す」ことを義務づけた。
両条例案は教職員の処分ルールも明文化。大阪府が6月に施行した君が代の起立斉唱義務化条例を念頭に、同じ職務命令に3回違反した教職員を分限免職にすると規定。低い人事評価が続く教職員の分限処分や過剰になった人員のリストラ規定も盛り込んだ。…
残念ながらHPにはアップされていないので、大阪の人に頼んで、記者会見の資料を手に入れたり、あわただしくその内容をチェック。そもそも、維新の会の会議では、「条例素案」なるものまで出されて、確認はされているという。ただ、噂によれば、問題がさまざまにあり、さらに精査したうえで発表するということらしいのだけれども。
政治の役割が強調される。そこには、最高裁の学テ判決で、 「もとより、……教育に……政治的影響が深く入り込む危険があることを考えるときは、教育内容に対する……国家的介入についてはできるだけ抑制的であることが要請されるし、……子どもが自由かつ独立の人格として成長することを妨げるような国家的介入、例えば、誤った知識や一方的な観念を子どもに植えつけるような内容の教育を施すことを強制するようなことは、憲法26 条、13 条の規定上からも許されない」という判決をうけて、政治が非常に抑制的な態度をとってきた、そのかけらもない。
さらには、教育目標や内容の決定、それにもとづく学校の競争と統廃合、反対する教育委員の罷免から、教職員の免職までまで。ここまでかというぐらい教育の現場に介入できるものになっている。
教育には教育の条理があることを、学校には学校の文化と価値があることを、ある程度、漠然と多くの人は感じているのだろうけれども、一方では、そのことがしっかりした認識になっているわけでもない。正当に選挙されたものとして、府民の意見を代表して、おこなうといわれたら、多くの人はぐらつく。
日の丸、君が代では、当初、思想・信条の自由、内心の自由が注目されてきた。だけど、その先にまっていた、この動きを見ると、さらに、「教育とは何か」、教育はどのような方法で営まなければならないのかというy、教育にかかわる原理・原則があらためて問われていることがわかる。それは、同時に、教育基本法の改悪のさいに、運動のなかでは議論されたことだけど、国民的なレベルにはなかなか仕切れなかった点でもある。
であるならば、この大阪の問題は、大阪にとどまらない問題として、正念場を迎えているということもできるのだろうなあ。
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