私たちはこうして「原発大国」を選んだ 増補版「核」論
福島の原発事故が起こるはるか前に書かれた本である。もちろん、あの原発事故を目の当たりにしたいまから見れば、ちょっとなあ、なのだけれども。だけど、50年代の正力や中曽根、柴田の役割、70年代の田中、中曽根と電源三法をとりまく状況、そしてJCOの事故など、戦後の日本の原発史を考えたとき、よくできた本だと、ボクは思っているのだけれども。
清水の変節や高木の限界なども、ストレートで、それでいて興味深い。だけど、そこに8~90年代の動きを代表させてしまっているところが、この本の限界か。チェルノブイリのあと、ここまで肥大化させてしまった「安全神話」への言及も、なぜかちょっとだけ。そのことが、今度の原発事故への、立ち位置を危うくさせているのかなあとも思う。たんなる中途半端とは言いたくないけれども。
だけど、戦後の原発にかかわる本を読んでいると、どうしてもでてくるのが原水爆禁止運動とのかかわり。ここでの記述は、この本もかなり乱暴で、不正確だ。ここまで、不正確な本がならぶと、やはり考えてしまうなあ。それは、いろいろな条件や意図があったとしても、ある側面が異常に肥大に歪曲して、多数に認識されているという事実。それは、認識の歴史的過程なのだろうか。だとすれば、それは間違っているというのが大事なのではなく、認識をただすような、事実の提供が大事なのかなあとは思う。
そして、そのこととの関連で、あらためて思うのは、ソ連というなくなった国とその指導者の日本での犯罪的な謀略的行動とその影響力の大きさでもあるのだけれどもね。
« 学校で何が(10)4月1日、異動断行(宮城) | トップページ | 検証動かぬ基地vol.98 高江にあった「ベトナム村」とは »
「読書」カテゴリの記事
- 10月号ができました(2024.09.11)
- 「歴史抹殺の態度を変えさせなければ」8月31日に都内で関東大震災朝鮮人・中国人虐殺犠牲者の追悼大会(2024.08.25)
- 木原稔防衛相、終戦の日に靖国神社に参拝 韓国「時代錯誤的」と反発 :「ニライカナイには行けない」(2024.08.15)
- 9月号ができています(2024.08.12)
- 『沖縄県知事 島田叡と沖縄戦』と「島守の塔」(2024.07.28)
「政治」カテゴリの記事
- 「日米軍事同盟・「戦争する国」づくりの新段階」 日米の統制の一体化などなど(2024.09.14)
- PFAS 公害裁判 そしてトラツバ(2024.09.12)
- 10月号ができました(2024.09.11)
- 「エイジアン・ブルー 浮島丸サコン」(2024.09.10)
- 赤旗日曜版にJCJ大賞 自民派閥の政治資金不記載(2024.09.09)
「経済」カテゴリの記事
- PFAS 公害裁判 そしてトラツバ(2024.09.12)
- 「エイジアン・ブルー 浮島丸サコン」(2024.09.10)
- 赤旗日曜版にJCJ大賞 自民派閥の政治資金不記載(2024.09.09)
- 河野大臣「自由に働き方を決められる制度が大事」 希望者には“勤務時間の上限廃止”も 働き方の規制緩和を表明(2024.09.05)
- 小1の不登校が2年で倍増 「幼・保・小」の連携で対応(2024.09.01)
« 学校で何が(10)4月1日、異動断行(宮城) | トップページ | 検証動かぬ基地vol.98 高江にあった「ベトナム村」とは »
コメント