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2011/07/21

貧困率についての声明

 反貧困ネットワークが、先日、発表された貧困率について、声明を発表した。ときどきに発表する、このネットワークの声明はいつも学ぶところが多いが、今回もいろいろ考えさせられた。

貧困率についての声明
                                            2011年7月20日
                                               反貧困ネットワーク
                                               (代表 宇都宮健児)
 7月12日、厚労省が相対的貧困率を発表した。全体で16.0%、17歳以下の子どもの場合で15.7%だった。
 2009年10月、政権交代直後の厚労省が初めて発表した相対的貧困率は、それぞれ15.7%、14.2%だった。それぞれ0.3%、1.5%の上昇であり、特に子どもの貧困率の上昇幅が著しく、相対的貧困状態にある子どもの数は3年間で約23万人も増加したことになる。
 この結果は、厚労省が3年に一度行う国民生活基礎調査(大規模調査)のデータに基づいており、今回発表されたデータは2009年1~12月の所得に基づいている。前回調査の根拠データは2006年1~12月だった。
 2007年2008年2009年に何が起こったかを振り返ってみれば、07年はいわゆる「ネットカフェ難民」問題で始まり、7月には「おにぎり食べたい」という日記を書き残して亡くなった北九州市の52歳男性の餓死事件が発覚し、年間を通じて日雇派遣会社グッドウィルの「データ装備費」問題が世間を賑わした。08年にはリーマンショックに端を発した大量の派遣切りがあり、年末には「年越し派遣村」が誕生した。国民年金1号保険料や国民健康保険料の未納・滞納問題が広く知られるようになったのも、この数年間である。そして09年にはそれらすべてを受けての政権交代があった(子ども手当や公立高校の授業料無償化が始まったのは2010年に入ってからであり、今回のデータには反映されていない)。
 この3年間を振り返ると、相対的貧困率の上昇は当然のことのように見えてくる。それだけ、日本社会の痛みや綻びがさまざまな形で噴出した3年間だった。

 それでも、子どもの貧困率の上昇幅には驚きを禁じ得ない。これは、とりもなおさず、17歳以下の子どものいる世帯のそれ以外の世帯に対する相対的な低所得化の進行、すなわち高校生以下の子どもを持つ「働き盛り」の親たちの雇用の不安定化・低所得化を示している(その下げ幅が著しいために、ひとり親世帯の相対的貧困率が「改善」してしまうという「逆転現象」すら起こってしまった)。「雇用融解」から「雇用壊滅」(風間直樹)に至る事態が如実に数字として表れた結果だろう。
 周知のように、日本は世界一の超少子高齢化社会であり、現役世代およびその子どもたちが十分に力を発揮できる環境整備は、当人たちにとってはもとより、社会全体の持続可能性において喫緊の課題であることは論を俟たない。私たち反貧困ネットワークは、相対的貧困率の削減目標を掲げ、政策提言を行ってきた。もっとも責任の重い政府・自治体をはじめ、NPO・教育関係者・企業・労働組合も、それぞれの立場から、高すぎる子どもの貧困率の改善に取り組んでいかなければならない。

 所得の多寡のみによって人々の幸福が測られるわけではない。しかし、相対的貧困状態の放置は、多くの人々の生き死にを左右し、悲惨な状況を生み、ひいては日本社会全体の衰退に直結する。「事態を小さく見せて、とにかく今をやり過ごす」のはもう止めにすべきだと、私たちは今年改めて学んだはずだ。
 次の国民生活基礎調査(大規模調査)は、2012年(来年)1~12月の所得を元に行われ、その結果は2014年半ばに発表される。さらに暗澹たる事態が進まず、好転の兆しが現れる結果にするために、すべての関係者の尽力を求める。
                                                        以上

 ほんとうに、このあってはならない事態の改善にど宇向き合うのか、社会と政治のあり方がとわれている。
 
 ある研究者の方が、この調査を見て、貧困率を出す基準になる「貧困線」は、「所得分布の中央値の50%」と設定されているので、所得が全体的に低下している場合、貧困線も下がる。この間平均所得は低下の傾向にあり、貧困線の絶対値も低下している。その中での貧困率の上昇なので、実際の状況は数字以上に悪化していると考えられると指摘していた。
 関係者の間ではよく知られていることだが、一般には見落としがちな点で、メディアもあまりふれない。こうした指摘も大事な点だと思った。

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コメント

この問題の本質は、「脱ニッポン型思考」と言う中で、あの小室直樹博士が語っておられた、構造的アノミー、欠陥とも言えるのでは無いでしょうか。
これを克服するには、国際社会の中での日本のあり方と、日本の社会そのものを根本的に変えて行くことが何より必要なことなのかも知れません。
だが、そのためには、時には、もの凄い痛みを被る人達もいることも考慮すれば、日本文化そのものを、感情ばかりが優先されるところを割り切って分かち合うことで、本質的に変えて行かなければならない分けでもあるので、難しいとも言えますが、このままでは日本そのものが崩壊してしまう恐れもあると思えば、それを克服し乗り越えて行くことが出来れば、遥かに喜ばしいことだと思えば、出来る限り痛みを和らげながら、変えて行かなければならないとも考えられます。

地球規模で見れば、これまでの日本経済成長は、冷戦構造の中でアメリカ従属の前提の下に実現し豊かな社会を築いてこれたことは言うまでも無いと思います。
だが、表面上豊かになったとは言え、公害問題や大量の廃棄物を産み出し、食糧やエネルギー自給率も低下させ、日本列島がゴミ捨て場のような状態にしてしまったような所は無いでしょうか。

そうした中で、東日本大震災そのものは自然災害であるものの、福島第1原発事故による惨事については、電力そのものを原発に依存してきた国民も被害者であると同時に加害者でもあると言うことも考えなければならないと思います。
だとすれば、「将来は原発は無くてもやっていける社会」と言う方向性は間違っていないと思いますし、日本国民として、少しぐらい生活水準は下がっても節電や節約をして原発稼動させなくても済めば、それで良いのでは無いでしょうか。
そのために、多少の電気料金の値上げは致し方無いと割り切って、再生可能な自然エネルギーを促進することで、地産地消型の地域機材の活性化により日本経済を支えることが出来るような社会にして行くことも必要では無いでしょうか。
それにより、そうしたエネルギーや環境分野ばかりでなく、農業分野の発展と共に雇用拡大に繋がることが出来れば、即戦力となる人材育成を目的とした職業訓練を充実させて行くことで生活保護の抑制に繋がるのでは無いでしょうか。
同時に少子高齢化社会の中で、例えば幼保一元化により、一体化した認定こども園が増えて行くことも間違いありませんが、高齢者のための老人介護施設と保育縁y幼稚園、認定こども園とも一体化した、多種多様な施設も増えて行くことが出来れば、それを担う人材育成と併せて雇用拡大にも繋がって行くことで、東京や大阪等の大都市の人口は減少し衰退することになっても、地方の人口増加に繋がって行けば、少子高齢化対策と併せて過疎化対策にも繋がることになれば、此れほど喜ばしいことは無いのでは無いでしょうか。
製造業については、日本でしか造れないモノか、そこそこの貿易黒字が維持出来る程度に縮小することで、中国や東南アジアでも生産可能な分野は幾らでも海外に追い出してしまうことで、人材の流失や産業空洞化を埋め合せることが出来れば、日本はもう中規模程度の二流国家となりアジアの片隅のローカル国家となって、国際競争力も衰退し取り残されても、日本社会が幾らでも良くすることが出来れば、それだけで十分では無いでしょうか。
逆にそれにより、日本を無視する国はあっても敵対されることは無く、攻撃されたり変な戦争に巻き込まれることが回避できて、穏やかに存続することが出来れば、それで良いのでは無いでしょうか。

ただ、赤字国債の削減を図るためには、これまでの天下りの温床となっている特殊法人を海外に幾らでも売却しても良いものは売却しても良いと思います。
大企業に対してはほうじん実効税率を80%に引き上げ、さらに所得税についても累進性を高めて、所得が増えれば増えるほど、幾らでも過酷な負担をして、その全てを所得の少ない人を助けるためだけに使うことが出来ればそれで構わないと思います。
そうすることで、日本から逃げたければ、「どうぞご勝手に」と言うことで幾らでも追い出してしまっても構わないところはあるかも知れません。
ただ、皆で節約できるところは節約し、他に使うところが無ければ、お金を溜め込み、こうした震災の他、困っている人がいたら、そうした人達のために義捐金として出してあげたり、ボランティアに参加したりして、皆で支え合い、痛みを分かち合い、共に幸福に暮らせる国に生まれ変わることで、相対的貧困率も縮小し、世界一の社会福祉国家へと生まれ変わることが出来たら、此れほど素晴らしいことでは無いでしょうか。


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