シリーズ東日本大震災 第1部 復興はなぜ進まないのか ~被災地からの報告~ 第2部 “製造業王国”東北は立ち直れるか
録画してあった先週土曜のNスペをみた。なかなか難しいテーマでもある。なぜ、復興がすすまないのか。政府の対策のスピードを追う。ここで、とりあげているのが、漁業の再建だ。この地域の復興を考えたとき、生活の再建の大きな柱に雇用の再建ということがあるのはまちがいない。しかし、政府の復興策の遅れに対比してとりあげられるのが、宮城の集中方式だ。一方の、そういう再建への、漁協たちの反対と独自のとりくみも紹介する。
経済の問題も同じ。震災では、企業の生産のサプライチェーンというものが、生産の高度化のもとで変容し、東北地方に高度な部品生産が集中するようになっていたことが紹介される。これが被災し、グローバル化のもとでの国際競争にさらされていると指摘する。このもとで、特区などをつくった生産の再建の必要性がいわれる。一方で、番組では、中小企業の横の連携による大企業の系列でない、生産再建のとりくみも紹介される。
復興をめぐっての対決のありようがこの番組からは、垣間見ることもできそうだ。なによりも、道州制を見越したような特区と生産の集中。復興の議論はもたついているようにみえるが、財界などの議論で共通している方向は、この方向だ。その方向を志向する支配層の思惑の強さを痛烈に感じる。
だけど、漁民たちのとりくみにしても、中小企業の取り組みしても、実は、そういう方向とは必ずしも同じではない。地域を基礎にして、そこに生活と生産の再建を自分たちの手によってすすめていこうという力強い意志というのも感じる。そういう方向にこそ、地域の人々を置き去りにしない再建がある。
では、何が問われるのだろうか。もう1度、震災前に、この国と、この地域の経済がかかえていた問題を想起したいと思う。本当に、グローバル化の競争のなかで、変容を続ける産業構造、生産構造のもとで従来のような方向の選択を前提にするのが正しいのか。そうしたものがこの地域にもたらしていたものが何だったのか。
では、そうでない、生産のあり方、それを支える、漁業や中小企業政策とは何なのか。
人が希望をもって、この地域で生きて、暮らしていける地域づくりとはどういうものか。とても、そういうことを考えさせられたような感じがする。経済を不得意とするボクだけど、こうしたこともちゃんと勉強しないと、この国の行方については、ちゃんと考えることができないなあと痛感した次第。
« 生活保護受給202万人に 震災被災549世帯も | トップページ | 君が代命令 三たび合憲 「賛成」判事も強制慎重 »
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 自民党総裁選への「現職」不出馬、菅義偉・前首相に続き2代連続…鈴木善幸氏や海部俊樹氏の例も(2024.08.14)
- 『沖縄県知事 島田叡と沖縄戦』と「島守の塔」(2024.07.28)
- 「奥能登に生きる〜2つの過疎の町と震災〜」(2024.07.21)
- 「膨張と忘却 〜理の人が見た原子力政策〜」(2024.07.18)
- 8月号ができました(2024.07.09)
「政治」カテゴリの記事
- 河野大臣「自由に働き方を決められる制度が大事」 希望者には“勤務時間の上限廃止”も 働き方の規制緩和を表明(2024.09.05)
- 沖縄県の原告適格性、二審でも認めず 県は上告を検討 高裁那覇支部 新基地建設を巡る県と国の14訴訟で最後の係争案件 玉城デニー知事「残念」(2024.09.03)
- ほんとに、総選挙はいつになるのか(2024.09.02)
- 小1の不登校が2年で倍増 「幼・保・小」の連携で対応(2024.09.01)
- 自衛隊、宮古・八重山や奄美に新拠点検討 2025年度の概算要求 訓練場や補給の適地有無を調査 2027年度には那覇に対空電子戦部隊(2024.08.31)
「経済」カテゴリの記事
- 河野大臣「自由に働き方を決められる制度が大事」 希望者には“勤務時間の上限廃止”も 働き方の規制緩和を表明(2024.09.05)
- 小1の不登校が2年で倍増 「幼・保・小」の連携で対応(2024.09.01)
- 私の問題から、みんなの問題に(2024.08.28)
- 最前線 カマラ・ハリス氏の40分 最重要の見せ場で訴えた五つのポイント(2024.08.23)
- インクルーシブの対極の展開が十分に予想される(2024.08.22)
« 生活保護受給202万人に 震災被災549世帯も | トップページ | 君が代命令 三たび合憲 「賛成」判事も強制慎重 »
コメント