3・11大震災 シリーズ6 原発爆発 安全神話はなぜ崩れたか
録画したNNNドキュメントを見た。
大地震の翌3月12日、日本テレビ系のカメラだけがとらえた福島第一原発1号機の水素爆発。3基の原子炉が制御不能に陥り、放射性物質がまき散らされたレベル7という未曽有の原発事故は、原子力に関わってきた大学教授や技術者、電力業界の関係者、そして地震学者たちの多くに衝撃を与えた。専門家からは「想定が甘かった」と、これまでの安全審査のありかたを反省する声も聞かれるが、取材を進めていくと、今回のような事故を警告する出来事や提言はいくつもあったことが判明した。それはなぜ生かされなかったのか。アメリカの原発規制も紹介しながら、事故の背景を検証する。ナビゲーターは日本テレビの科学エキスパート倉澤治雄解説委員が務める。
地震による外部電源の喪失、ディーゼルなどの緊急電源の問題、1つひとつ、「想定外」の問題が指摘されていたのにもかかわらず、それが日本では、まったくというほど見過ごされてきた。規制機関のあり方とその役割。アメリカの原子力政策と比較しても、「シビアアクシンデント」を壮麗しない日本とは、ここまでの違いがあるとあらためて驚かされる。
もちろん、そういう「安全神話」が日本では形成される経過には、独特の歴史がある。そこを問うことも、やっぱり重要なんだと思うのだけれども。
だけど、まだ、この「安全神話」が、政治のさまざまなところにへばりついている。番組では、原子力委員会の田中さんが、放射能の汚染に向き合わないと、信頼は回復しないと言っていたけど、そんなことをまったく気にせずに、政府は、停止している原発の再開をすすめようとする。その安全対策として、保安院が出した文章は、これだ。たとえば、水素爆発に対する対策は、ドリルで建屋に穴を開けることだそうだ。これにはあいた口がふさがらない。誰が高放射能のなかを、ドリルで穴をあけるというのだろうか?なんて普通は考えるだろう。やはり起こらないことが、今なお前提となっているのか。本当に、真摯な検討なのか? 再開が先にありきではないのか?
これで、原発への信頼が回復するとはとうてい思えない。では、そんなことも、どう議論しようというのだろうか?
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