徹底検証 日本の軍歌 戦争の時代と音楽
最近は、結構、軍歌にかかわる本の出版が相次いでいるし、その何冊かをこの数年の間に読んでいる。結構、労作が多い。
ボクの子どものころは、駅前には、傷痍軍人と名乗る人が物乞いをしていた時代だ。今では、右翼の街宣車から流れるときぐらいしか耳にしなくなった軍歌だが、一昔前までは、宴席などでは日常的に聞かれた日本人にとって、とても馴染み深いものでもあった。では、その軍歌とは、いつ、どのようにして生まれ、定着したのか。この本のいちばんの特徴は、軍歌を、歴史の全体のなかで、ていねいにとらえないそうというところ。
必ずしも一次資料によるものではない著作ではあるけれど、もう1つ、歴史家ではなく、音楽評論家である著者ならではの視点から、なぜ、軍歌のなかには「戦友」のような厭世観を増幅させるようなものが存在するのか、軍歌というのもの特徴を明らかにする。こうして、幕末から日清・日露戦争、第二次世界大戦の敗戦にいたる軍歌の歴史とその特徴とはどんなものえだったのかを丁寧にひも解いている。
たしかに、音楽を侵略戦争遂行のための精神的支柱として活用するため、軍歌はつくられ、実際にその役割を果たした。同時に、軍歌の歴史は、西洋音楽を受容する歴史とかさなる。だから、その歴史は、日本の近代とは何だったのかをも考えさせてくれると考えさせられるのだ。
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