本多勝一の戦争論――「侵略」をとらえる目
元朝日新聞の名記者として『中国の旅』など多数の著作をもつ筆者の最新の著作。若手記者のころベトナム戦争取材を体験した筆者は、日本の侵略戦争へと取材をすすめる。Ⅰ部では、南京事件など日本の加害への歴史認識を自らかかわった「百人斬り」裁判などにもふれながら問いかける。
広範のⅡ部は、さらに現在のイラク戦争に及ぶ。この戦争を抽象的な戦争として批判するのではなく、侵略と被侵略という視点で批判するなど学ばされる。それはⅠ部に通じる視点である。そして、筆者の視線は、現在のジャーナリズムのあり方に向かっていく。なぜ新聞は「権力の監視役」を果たせなくなっているのか。「政党機関紙といえ『赤旗』」を読まないと真実を知れないというのも筆者の結論の一つである。それはボクも同感である。
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