日本の国会-審議する立法府へ
折角、比較政治学のいまや最前線にいる大山さんの著作なのに、日本の話を軸にしたために、話がちょっと錯綜して、読みづらいというか、わかりづらい感じがするのはボクだけかなあ。
憲法の本で、国会について学ぶことがあっても、実際の国会というものに即して、国会という論じられることって、案外少ないのかもしれないね。そういう意味では、意欲作だし、知らないこともたくさん書いてあった。戦後の日本の国会のモデルとしての、アメリカの国会のありようとの関係などはまったく知らない話。
だけど、大山さんは、あくまで国会での審議ということを軸に議論を展開する。それは大事なことだけど、それがすべてでないと思うけど。個人的には、現在の国会の問題を考えたとき、そこにおける民主主義の問題とともに、その議会が国民の意志や意見をどう反映しているのかという問題があると思う。党議拘束にしても、事前審査による党議拘束が、議会の審議を不活性にしたというのは反面事実だどうけれど、政党政治である限り、党議拘束は不可欠だし、現在の社会における民主主義にとって政党制はやはり不可欠なものだと思う。となれば、党議拘束をするにしても、それがどう国民とむすびついていくるか、国会での議論が国民の前に示されることによって、そういう政党の態度が変わることはないのかということが問題になるのではないのかなあ。ただ、審議が活性化すれば国会は変わるというのはあまりにも楽天的で、日本のような財界などの政治的影響力が強く国においては、それほど楽天的ではいられない。しかも、国民生活が多様化し、かつてのように業界団体などであるていど国民の意思が吸収できた時代とは違い、国民一人ひとりが孤立化している時代において、国民の意見や意志をどう国会の審議に結びつけていくのかということが、これからの国会には問われてるのではないのだろうか。
そういう点で、開かれた国会というのが、ちょっと最後の付け足しみたいなようになっているのが残念なところ。
だけど、日本では、ウエストミンスターモデルがもてはやされたけれども、世界的にはその見直しこそが課題になっているなどの紹介は、結局、いますすめられている「政治改革」の流れこそが、いまの政治の混迷と閉塞をつくり出している原因になっていることを示していて、そういう意味では好著だとも思うけれどもね。
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