息もできない
親との間で、葛藤やトラウマを抱え、暴力でしか人間関係を築けない、主人公と、同じ親との間の葛藤を抱える高校生のふれあい。基本、暴力映画だけど、日本のそれとはちがって、その映像は、深く切ない。日本でこんな映画をつくれば、きっと陳腐なものになってしまうのだろうけれども、まったく陳腐ではなく、最後まで緊張感をもって、見せてくれる。漢江の川辺で、二人のシーンは、やっぱり泣ける。そして、主人公は、悩み、葛藤し、ある選択をし、悲劇を迎える。これも、ありふれたストーリーなのだけれども、やっぱり胸に迫ってくるのだ。
貧困や戦争など、さりげなく時代の背景なども織り込まれる。そういう時代や社会のなかで生きる人の姿が描かれているのだ。暴力のなかに生きる主人公のとらえかたが、深く、切ないんだ。何度もいうが、これはいまの日本映画にない描き方ではないのか。それは、人に対する視線、その広さというものにつながっているのだろうと考えてしまう。だからといってべたべたと優しい映画でもない。そういうバランスのなかで、映画が描いているもの、訴えていることをもっと考えて見たいと思った。
さすがに今年のキネ旬外国映画第一位でもある。
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コメント
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今日観ます。
投稿: takako | 2011/04/23 13:22