軍強制・関与 明記せず 歴博「集団自決」要因言及 展示見直し公開
今日は、朝は、ちょっと個人の事情で出遅れ。それから、職場で、講演原稿の処理、決着をとりあえずつける。メールなども発信。などなど。夜は、昔、ボクが今の仕事をはじめたころ、教育分野の問題でいろいろお世話になった方のお通夜。やっぱり寂しい気分。
軍強制・関与 明記せず 歴博「集団自決」要因言及 展示見直し公開(沖縄タイムス)沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」のパネル説明文から日本軍関与の表現を削除していた国立歴史民俗博物館(佐倉市、平川南館長)は5日、沖縄戦関連の展示内容を見直し公開した。「集団自決」について、手りゅう弾の配布で示された軍人の指示や米軍に対する恐怖心、投降を避けるべきだとした一般の観念などを住民の意思決定の要因として挙げたが、焦点だった日本軍の強制、関与の表現は明記されず、沖縄側が求めた進展はなかった。
沖縄戦などをテーマに、昨年3月に第6展示室「現代」を開設した同博物館は、軍関与削除に対する県内外の批判を受け、展示内容の修正を決定。学外の学識経験者などを交えたリニューアル委員会で4度にわたり協議し、見直した。
これまでは「戦場の民間人」の項目に盛り込まれていた「集団自決」を見出し付きで取り上げ、「集団自決」を招いたさまざまな要因に言及したとしている。米軍の恐怖をあおり、投降を禁ずる軍の布告を同時に掲示した。
また、沖縄戦特有の「住民の戦力化」と「軍・官・民共生共死の一体化」を指摘。日中戦争以降に国民総動員体制や皇民化政策が強化された「戦時体制下の沖縄」、防衛隊や学徒隊の動員など住民を戦力にしていく「防衛構想と実態」などの項目を新たに加えた。市町村史などの証言資料を来館者用図書室に設置した。…
結構、難しい問題。今度の記述についても。高嶋伸欣先生は「軍関与、強制が明記されず、期待はずれだ。『追い込まれた』という記述が削られ、強制された集団死という『集団自決』の位置付けをトーンダウンさせる内容になった」と批判しているようだ。それはそうだし、沖縄の側から見れば、今度の見直しは、期待はずれの不十分なものとしか言えないものだと思おう。
ただ、歴博の難しいところは、研究機関ではあるのだけれども、教授会自治があるわけではない、学問の自由が制度的に必ずしも確立しているわけではないようだ。「靖国」派みたいなところからの攻撃を受けとめるようなクッションもない。そういうなかで苦労しているのは分からないわけではない。戦争全体の記述も、必ずしも加害を明確に描いているわけではなく、日本の植民地下の各地の抵抗という形で、かなり間接的な内容になっている。それでも、この時代の展示をつくるところまですすめたという苦労は、相当なものがあったのだろうと想像できるのだから。何しろ、ドイツなどとちがって、国立の博物館で、戦争を展示しているのはここしかないのだから…。
今度の見直しも、そういう意味では、非常に間接的だけれども軍のありようを多様に提示している点や、証言資料の設置――とくにこの点は、「靖国」派はもちろん、文部科学省の検定などで、検定者がぜったいに資料として認めないものであるのだから――は、たいへんな工夫と言えないことはない気がするのだ。
もっと、社会全体の歴史認識の深まりをすすめながら、歴博の展示をより正確なものにしていくような運動が必要だということだろうか。いずれにしても、引き続き、より広範な議論が求められるし、必要な批判がおこなわれることは必要なのだということだと思うのだ。
近いうちのまたいかなきゃ。
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