子ども虐待と貧困 「忘れられた子ども」のいない社会をめざして
最近、明らかに読書量が減っているなあ。疲労が蓄積していて、集中力が落ちているのかなあ。いろいろ読みたい本をきちんと読めなくて、ちょっとイライラだよね。読む本の幅も、適度な広さをもてずにいる。
この本は、2月に出た本だけど、先に相方が読み終えて、そのままほっておいたままだった。仕事の都合もあり、ちゃんと読まないといけないなあ、と思って、やっと読み終えた次第。やっぱりよかった。
貧困と虐待というのは、実感として重なり合っているという感じがするけれど、実は、これまで、そのことが、きっちり論じられてきたわけではない。学会レベルでも、子ども虐待防止学会が昨年とりあげたぐらいで、そもそも子どもの貧困は、児童福祉学会でもとりあげられたことはない(来年にフォーラムではじめてとりあげられる)。家庭福祉学会はいまだとりあげていない。学問研究のレベルでも、スティグマの問題なども含め、いろいろな議論の経緯がある。この点については、後日。
貧困と虐待の重なりは、実践者からは、実感としてそう感じてきたのだと思う。そのことが、正面からこの本では論じられている。そのことが、母子保健保や保育、学校現場の実践からうきぼりになる。
そういえば今日は、こんな記事があった。
3割超が「対応不十分」=虐待通告で教職員ら回答-総務省調査(時事通信)総務省は7日、児童虐待の防止に関し、自治体や学校などの現場担当者に実施した意識調査の結果を公表した。児童相談所や市区町村などに虐待を通告した際の対応については、小中学校の教職員らで「不十分」「どちらかといえば不十分」と回答した人が32.3%に上り、「十分」「どちらかといえば十分」とした24.4%を上回った。
調査は8~9月に実施。児童相談所、市区町村、小中学校、児童福祉施設などの担当者8249人に調査票を郵送し、6749人から回答を得た。総務省は別途実施した実地調査なども踏まえ、来夏までに厚生労働省などに改善を勧告する。
この調査はこれ。
この意識のずれなども、この本では、学校の側の立案の不十分さと、児相の側の体制の不備を軸にときあかされている。つまり、対応の体制の不十分さがあるんだけれど、なによりも、その原因にさかのぼる、つまり貧困の対策をすすめることが必要だというのが、この本の最大のテーマでもある。
その後編者は、「子ども虐待問題と被虐待児童の自立過程における複合的困難と社会的支援のあり方に関すうr実証的研究」という調査結果を発表している。児相の相談記録を分析したものだけれど、この内容が興味深い。
一言で言えば、虐待というものは、さまざまな子どもの困難の1つというものではなく、家族の社会的孤立や障害などのさまざまな複合的な要因を、貧困、経済的な困難ということをベースにおこっている問題であることが、実証的に明らかにされている。つまり、虐待対策を出口でおこなうのではなく、まず、実際にある子どもの困難の解決に全力をつくすべきだと。
困難の大きさは、自立支援ホームの実践を読むと痛感させられる。だからこそ、子どもの困難を具体的な状況に即した対策こそがいま求められるのだろうと痛感させられる。
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