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2010/12/04

子ども・子育て新システムをめぐって

 昨日は、北海道から帰った直後、子どもを貧困と格差から守る連絡会議の子ども園についての学習会に参加してきた。新システムでは、子ども園がつくられることになるが、その先行ですすめられた認定子ども園の実態を、東京の新宿からの報告だ。
 新宿の四谷子ども園については、NHKの番組で特集されたのを見たことがある。が、それから少し立っているので、その実態についての報告は、大規模化のつくりだすいろいろな矛盾など、それなりにおもしろかった。
 ただ、ボクは新システムの問題の基本というのは、本来、出発点にあったはずの、就学前の子どもにかかわる教育や保育の充実という理念から、いつのまにか待機児対策という問題に移ってしまったことにあると思っている。つまり、本来は、国の財政をもっと子どもについて使うという問題が、いかに「効率的」に待機児対策をすすめるのかということにすり替えられたことにあると思っている。ところが、待機児対策そのものは、実は、財政を出動しないと解決しない。つまり絵に描いた餅となってしまっているのだ。幼稚園をベースに0~2歳児を受け入れるようにしても、そこには設備や施設の拡充や、専任の保育士の配置が必要だから。もし、お金をつかわずに場だけつくるというのなら、そこには劣悪で、安全性にも疑問が残る「場」しか生まれない。モデルとされる北欧だって、施設そのものは、別個であったりするところも多いし、その子どもたちの最善の施設づくりがすすめられているのだから。
 ならば、まず、新システムで議論するべきなのは、じゃあ、どう就学前の教育や保育を親の願いに応えて充実していくのか、豊かにしていくのかという議論がなければならないのではないのかということ。そのあたりの議論があまりなかたのは残念だった。

Img00188201012041445 今日は、午後から、汐見白梅学園学長らが主催する、小宮山洋子厚労副大臣に聞くという企画に行ってきた。
 まず、小宮山さんが新システムの施策の動向について説明。さすが元NHK。資料もいっぱいあって、よく整理されていて、わかりやすい(笑い)。出発点が、チルドレン・ファースト、子ども施策の充実にあったことはそうなのだろうけれども。それぞれの施策の意図などはわからないわけではないけれども、結局、いちばん聞きたいことは絶対に言わないわけで。
 会場から、子どもの事故にかかわってきた弁護士さん、保育園や学童保育や子ども施設、待機児対策を期待されていそうな保育ママさんなど、いろいろな立場の人から、いまの子育て支援施策への強い要求や新システムへの懸念が述べられる。もっと子どもを大事にする社会であってほしいと。
 指名討論者として、幼稚園の団体の役員をしている園長さん、保育士さん、認定保育園の園長さん、そのいずれも説得力があった。幼稚園からは、幼保一元化の理念はわかるが、財源は大丈夫なのか。そこを曖昧にして、まずシステムというのならば乗れないという発言。保育士さんからは、現状では子どもが大切にされない実態、そこが改善されるのかとい問いかけ。そして、認定保育園の園長は、これだけ制度外の仕組みをつくって、現場と子どもが一番困っている、それをどう解決するのかが問われていると。いずれも涙が出てくるほど、切実で強い思いが表明される。

 もちろん、ボクは小宮山さんが、それを踏みにじろうとしているとは思わない。個人的にはできるだけ、前向きで解決しようとしたいのだと思う。だけど、ならば、まずなぜ、この新システムは、こういう理念のもとで、こういう原則と財源での確保でスタートするということを言わないのか。税収の面でも、再分配機能を強化するとはいうけれども、いかにも抽象的で、具体性に欠く。「税と社会保障の一体改革」というのは絶対に必要だけど、立場を変えれば、消費税につながる。まず、ここでの原則は、具体的に語るべきではないのか。紐付きを維持するための、子ども交付金と地方の特別会計だって、財源が確保されなかったら、教員の総額裁量性のように非正規を拡大するテコになってしまうではないか。そもそも、最低基準の維持・充実だとか、自治体の責務をこれまでの義務をくずさいないものとして維持するということそのものの議論が、政治レベルと駆け引きの場にさらすようなやり方をしてしまうことそのものが、あやまりだと強く思う。
 
 あらためて、これだけ、ヨーロッパに比べて、貧弱になっている、就学前の子どもの教育や保育の制度の貧弱さを、どう改善・充実していくのか。そういう太い議論が必要なのではないのか。それと同時に、いま緊急に求められる緊急の対策。それは、もっとも困難な状況にある人を中心に、全体として困難が大きいこの子育て層への支援の、まず現状の制度のもとでできることを明確にすることではないかとも思うのだけれども。どうなのだろうか。

 最後に1つ。今日の議論でも、障害ある子どもの問題など、特別の支援の必要な子どもの問題の議論は、なかなかなされない。子どもの貧困の問題だって、意識はされているのだろうけれども、やっぱり不十分。すべての子どもの問題とともに、困難な子どもの支援の問題は、やっぱり独自に議論され、すすめられる必要があるのは事実だと思う。

 汐見さんの立場は、新システムは必要だが、民主党の考えと、自身の考えは違うというもの。菅政権の先行きが不透明で、半分ぐらいは、意味がないかもしれないとは言っていたけれど(笑い)。子ども施策の充実への思いと、その議論の裁きは、やや楽観的すぎるし、没政治という感じだけど、さすが汐見さんという思いももつけどね。
いずれにしても、聞いていて、とってもおもしろかったのは事実。

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