優しいおとな
桐野夏生はやっぱり大好きな作家。久しぶりに、読んでみた。たまたま10日ほど前に、読売新聞に彼女と本田由紀の対談が載っていて、読んでみようと思った。
すぐ主人公のイオンの感情に絡め取られる。切なく、寂しく、孤独な迷いのなかに。ざらざらした皮膚感とともに、妙なリアリティがあるのは、現在の格差と貧困の社会のせいか。もちろん、作品としては、なぞときのあたりが雑で、もう少し流れをつくってほしいとは思うけれどね、でも、テーマは、結びつき=愛着を求めるということ。人はそれでも、強い結びつきと、愛着を求める。それなしでは生きていけないから。それを阻むものは何なのか。一つの形しか認めない社会か、困難なかで排除する社会か、それを乗り越えるものは何なのか。などなどと。ラストの優しさだけが、少しの希望でもあるだろうけれども。
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