貧者の兵器とロボット兵器~自爆将軍ハッカーニの戦争~
9.11同時多発テロから9年、米軍とタリバンの泥沼の戦闘が続くアフガニスタン。ここに歴史上初めての全く新しい戦争の姿が出現している。ハイテク無人機など“ロボット兵器”を駆使する大国正規軍と、カラシニコフ銃や手製爆弾など旧式の“貧者の兵器”に頼る武装集団が、互いの姿の見えない戦場で対峙する究極の“非対称戦争”だ。
知られざるその実像をとらえた膨大な映像記録をNHKは入手した。そこにたびたび登場するのがタリバン最強硬派の「ハッカーニネットワーク」だ。自爆軍団として米軍に恐れられ、無人機攻撃の最大の標的にもなっている。
だが、ソビエトがアフガンに侵攻した80年代、首領のハッカーニは反ソ勢力として最も頼りになる米国の友人だった。武器の供給から爆弾の製法まで、米国の支援で力を蓄え、皮肉にもそれが今、米軍を苦しめている。
今、米国はハッカーニらのゲリラ戦から自国兵士を守るため、ロボット兵器を次々と開発し、米本土から遠隔操作で攻撃を行う。だが誤爆も相次ぎ、犠牲者周辺からタリバン予備軍を生み出す憎しみの連鎖も呼んでいる。“貧者の兵器”対“ロボット兵器”。その実態を描き、21世紀の新たな戦争の姿とその脅威に迫る。
昨日のNHKスペシャル。無茶苦茶、衝撃的な番組でしばらく立ち上がれなかった。最先端のロボット兵器で、テロとの戦争をすすめるアメリカ。それに抗するアフガンの武力勢力は、その卑劣さに憎しみを拡大し、自爆を重ねる。いっそうロボット兵器に傾斜するアメリカは、感覚をマヒさせるだけではなく、たぶん、財政的にも深刻さをましてくののだろう。それぞれが自壊をすすめるような戦争での犠牲は、ただ拡大するばかりだ。そこには、希望はない…。
いまのアフガンでの戦争の性質をよく表しているのだろうと思う。市民はその外にあり、ただ死と破壊が横たわる。
いっそうロボット兵器はすすむ。こんな時代の、こんな戦争にボクらは無関係ではない。たぶん日本もロボット兵器への道を歩むだろうか。一方で、広がる貧困がいっそうたたかいを泥沼化させる。そういう時代に、ボクらは、どう戦争に向き合えるのか。
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