シリーズ 安保とその時代 第4回 「愚者の楽園」へ~安保に賛成した男たち~
ぼやあっと、ETV特集を見た。安保シリーズの4回目だ。
1960年、多くの学生や労働者が 「安保反対」 を叫び、デモやストを繰り返した安保闘争の渦中で、安保闘争に異を唱えた人々がいた。そのグループのひとつが、保守系の大学生やOBの結成した 「土曜会」 である。「土曜会」 は、東大、早大、慶大などの学生によって1950年に 創設された勉強会。メンバーには、沖縄返還交渉に密使として関わった国際政治学者・若泉敬もいた。 彼らは安保条約を詳細に検討し、「安保賛成」 のビラを街頭で配り、日米関係の重要性と改定の意義を訴えた。しかし、土曜会のメンバーにとって60年の安保改定は、ひとつの通過点に過ぎず、最終目標は、敗戦国日本の独立、「自主体制」 の確立だった。次なる正念場は、新安保の見直し期限とされた10年後の1970年となるはずだった。 ところが、高度経済成長や沖縄返還を経て、70年代の日本国民の関心事から安保問題は忘れ去られていった。土曜会のメンバーは卒業後、官僚、企業人、学者、ジャーナリストとして社会の中枢で活躍するようになり、社会人のための組織 「有志の会」 を新たに立ち上げたが、一方で、彼らも自らの仕事に没頭する日々に追われた。以来40年間、沖縄普天間基地問題に象徴されるように、安保体制の根本は変わらないまま今日に至っている。 番組は、アメリカ軍基地の負担を沖縄に押しつけ、安保条約そのものと向き合わない今の日本を 「愚者の楽園」 と書き遺して死去した若泉敬をはじめ、「土曜会」 「有志の会」 の関係者の証言や資料を元に、安保の時代の知られざる側面を描き、半世紀後に積み残されている課題を見つめる。
この前、放映された若泉氏に焦点を当てた番組の焼き直しのような番組だったけれども。安保賛成の運動をとりあげることで、彼のいわば思想的な遍歴を明らかにすることになっている。そこから見えるのは、彼の行き詰まりは、俗っぽく言えば、右翼のそれとかわりはないようにしか思えない…。「愚者の楽園」と表現することが、彼らの行き着いた先なのか? それを番組はシニカルにも批判しないのはなぜなのかなあ。
結局、だれが、どのような考えに立てば未来が語れるのか――そういうことが問われている、そんな思いがした次第だ。
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