シリーズ証言記録 兵士たちの戦争 朝鮮人皇軍兵士 遥かなる祖国
今度、若い人の前で、韓国併合100年にかかわっての話をしなければいけない。もちろん、ちゃんと日本の植民地支配の経緯や、当時の日本社会の特徴とはどういうものだったのかということをしゃべるわけだけれども、そもそも植民地支配というものが、半島の人々に何をもたらしたのか、実感をもってうけとめてもらえないかと、いくつか映像をさがしてみた。そこで、この春に放送されて、まだ見ていないかったこの番組を見てみた。
戦後にシベリアに抑留されたおよそ60万の日本軍兵士のうち、およそ1万人が朝鮮半島出身者であった。太平洋戦争の開戦当初、日本軍は朝鮮半島から志願兵募集や徴兵により戦力の確保を図った。朝鮮半島の若者たちは、ある者は貧しさや差別から逃れるため、またある者は皇民化教育によって疑問ももたずに日本軍の兵士となった。「皇軍兵士」になったことで過酷な運命にほんろうされた人々の戦争を描く。
植民地支配の経済困難、志願という割り当て、そして徴兵制。植民地支配は、最終的にそこにいきついた。そして、送られた満州では、対ソ戦争の盾としてつかわれ、敗走する日本軍の最前線で特攻としての役割を担わされる。戦後は、シベリア抑留。さらには、母国からはソ連(北)のスパイ、対日協力者として受け入れられることはなかった。名誉が回復したのはつい4年ほど前のことである。
アイデンティティということを考えるとき、ボクらは現実には、国や民族ということを深く考えない。しかし、戦争は、強制的にそのことを問う。しかも、自分の生まれた国とは違う国ということが強制され、そのための死を求められる。その傷を戦後、回復されずに60年の月日がすぎていった。死の強制もそうだが、生き残った人たちの人生も想像を絶するものであると思った。
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このTVはみたかったけど、録画忘れてる。。
私ね、忘れがたいことがあるの。15年ぐらい前かなぁ、タイの小さな島ー昔ヒッピーが集まってたような、当時まともな大型ホテルはなくて、簡易宿泊所のようなのしかないサメット島というところに日帰りでいったとき、戦争体験者とおぼしき高齢の韓国人3人組ーおそらく夫婦プラス親戚の女性ーもしかしたら3人きょうだいかもしれないーと同じバスになったの。その人たちは英語は全然ダメで、でも私たち家族が日本からきた、と知ると一生懸命自分たちが習い覚えた日本の童謡をうちの子たちにうたってきかせるの、からーすなぜなくの、とか、さくらさくら、とか。日本語会話はほとんど忘れてるみたいで、なにか問いかけはできても私のこたえる内容は理解できない、といったふう。だからコミュニケイトまったくとれないんだけど、結局ずっとついてこられてて、私たち家族がシュノーケルしてるあいだも、砂浜で3人ぺたっと座り込んで、「おじゃみ、おじゃみ」とかいって砂でだんごつくっておじゃみをする真似をしてたり着の身着のままで波に足をつけたりしていた。で、しょっちゅうにこにこと韓国語で話しかけてくれるのだけれどひと言もわからないの。なぜドイツ人観光客が圧倒的に多いその島にいくツアーバスに参加してたのかもわかんない。他に韓国のひとは全然いなかったし。ただひたすら、日本人にあってなつかしい、嬉しい、という表情だったんです。きっと幼い頃日本語教育を受けた時代の楽しかったことだけを思い出したのかなあ。日本統治の頃幼すぎて、つらい記憶が残っていないのか。。
でも一生懸命はなしかけてくれてた内容がまったくわからなかったのは歯がゆいかぎりでした。
投稿: 芳芳 | 2010/09/06 00:46
いつも思うけど、ほんとにいろいろな体験をしているんだなあ。15年ほど前と言えば、韓国はまだ、民政に変わって、そんなにたっていた時代。脅威的な経済成長もやっとはじまったころだろうね。そんな時代だから、それなりに社会的には地位のある層の人だったのかと想像したり。そういう層の人と、かつての日本との関係はなどと。
植民地支配のかの国のことと同時に、そのことが戦後の韓国にどのような影をつくったのかなども、考えてしまったり。
番組は、去年、ETVだったとおもうけどやった、もう1つのシベリア抑留に追加取材したような内容。この分野のNHKの蓄積は、やっぱり見事です。
韓国と日本軍国主義との関係で言えば、内海愛子さんの『キムはなぜ裁かれたのか』(朝日新聞出版)がおすすめだな。この人には何度か、話をお聞きしたことがあり、一度、沖縄料理につれていってもらったこともある。この人の書いたものって大好きだなあ。その配偶者さんが、村井吉敬氏。彼は『エビと日本人』などで有名だけれど、東南アジアをベースにした活動は、芳芳さんの世界と合うんだろうね。
投稿: YOU→芳芳 | 2010/09/06 23:52
>>それなりに社会的には地位のある
ううん、全然そうじゃなくて、たいへんに質素な風貌の3人組でした。
英語もタイ語もできない人たちが、韓国人のツアーから離れてなぜ
こんなバックパッカーばかり集まるところにきたんだろう、と不思議でならなかったわ。
なにを私に伝えたかったのか、一生懸命話しをされたんだけど
想像もつかなくてね。非常に居心地悪かったので忘れがたい思い出です。
「キムはなぜ..」メモっておきますね。ご紹介ありがとう!
投稿: 芳芳 | 2010/09/07 16:14