いまこそ考えたい 生活保障のしくみ
あいかわらず体調は今ひとつ(苦笑)。今日は、実務、会議、そして取材(その後懇談)。
さて、電車のなかで大沢真理さんの表題のブックレットを読む。ボクは大沢さんの議論って嫌いではありません。もちろん、彼女も政府の役職についたりしているわけだから、この主張を現実の政治の力関係のなかで、どう実現するのかということについて、もっと聞きたいし、民主党政権に対して、楽観的すぎることはないのかということもお聞きしたいのだけれど。
でも、このブックレットで書かれている、格差と貧困、生活保障のくずれの現状などは、そのとおりだと思うし、そういう現実を前にしながら、自民党政権下で推し進められてきた施策のあやまりはそのとおり。なによりも、ワーキングプアの増大の問題そして、そこにあるジェンダーの問題。
圧巻は、結局、財政の再分配機能をくずしてきたこと。もともと、日本の社会保障は年金給付が中心で、社会保障の制度全体としての問題があること、税収の点で、日本の場合は、全体の税収そのものを小さくするような政治がおこなわれ、それも、大企業や高額所得者への減税をすすめる形で累進課税をくずしてきたこと。それにとどまらずに、社会保障負担そのものがもともともっていた不公平性(定額部分)を温存し、さらに社会保障負担を増大させてきたことが、いまの問題を浮上させていること。などなど。ここからは、社会保障のありようそのものをどうしていくのかということと一体に負担の問題を考えることの必要性を教えてくれていると思ったし、同時に、負担の問題が、もっとも集中的あらわれている、シングルの家庭のみならず、貧困削減インパクトでは、共働き家庭も含めて、マイナスという異常な事態にあることなど、教えられることは多かった。
ただ、冒頭で言った大沢さんへの疑問はたとえばこの本では、消費税の増税に言及していることにもあらわれている。善意の発言だとは思うけれど、この本にのべられているような格差と貧困の構造が日本経済をゆがめている現状からすれば、現実的に消費税の増税が処方箋のなかに入ってくるのかは、甚だ疑問としか言いようがない。
とはいえ、本当に、勉強しなくっちゃいけないし、いろいろ考えなくっちゃいけないと痛感した次第。
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