沖縄戦が問うもの
07年に公表された教科書検定で「集団自決」への日本軍の関与の記述が削除され大きな問題となった沖縄戦。この沖縄戦について、戦争にいたる沖縄の近代の歩みから、多角的、しかも入門的に明らかにしたのが本書だ。本土の盾、捨て石としての役割を担わされた沖縄戦の実相や県民がどのように動員に動員されていったのか、離島における戦争被害の問題までの詳細な記録は、なぜこれほどまでの犠牲が強いられたのかを明らかにしている。
この教科書検定の問題を契機に、沖縄では、体験者の証言がひろがった。それがいっそうこの沖縄戦の実相を解明するうえで、大きな契機にもなったように思える。この本の著者は、沖縄戦研究の第一人者。同時に、彼の著書が、その検定問題の契機にもなった。当時の歴史研究の到達点から、契機となった著書の力点は、間接的な関与に置かれていたために、悪用されたといえば言い過ぎだろうか。そうした歴史修正主義の動きへの執念のような思いが込められているようにも思える。
本書ではまた、戦後沖縄での米軍による基地建設の経過もふれている。そこからは、現在の沖縄の基地問題が沖縄戦からの地続きの問題であること、この問題の根源がどこにあるのかを問いかけるものになっている。
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