解放と分断 在日コリアンの戦後
NHKスペシャルのシリーズ 日本と朝鮮半島の第4回目。今日は現在に連なる重いテーマ。在日コリアンの戦後。
在日韓国・朝鮮人の法的地位。今も地方参政権などで焦点となるこの問題は、日本の敗戦からサンフランシスコ講和会議に至るGHQの占領下にその原点がある。敗戦後、在日コリアンの多くが在日本朝鮮人連盟(朝連)を軸に、生存権、教育権を求めていく。しかし、GHQは、冷戦の激化の中で共産主義の運動として警戒を強め、1948年4 月、阪神地域に非常事態宣言を発令、「阪神教育闘争」として知られる弾圧事件となった。こうした中、GHQの占領のもと国体護持をはかる日本政府は外国人登録や出入国管理令を整え、戦前、帝国臣民だった在日コリアンは外国人と見なされていく。そして朝鮮戦争という東アジアの激動の中で、在日コリアンの分断は激化していった。 新たに公開されたGHQ文書や証言をもとに在日コリアンをめぐる政策がどのように作られていったのかを追う。
なぜ、このように多数のコリアンが日本に住むようになったのかという歴史的な経緯が必ずしもこのシリーズで解き明かされているわけではない。だから、問題の所在に、ちゃんと焦点があたっている訳では決してない。
ただ、戦後の占領下で、占領と日本の政治が、この問題にどんな態度をとったのかはよくわかる。知らないことも、いくつかあったし、貴重な資料も提示している。
日本国憲法の制定について、ある研究者は、欠落させた視点として。この在日の問題を指摘したことがある。憲法守りいかす立場の人からすれば、憲法の普遍性のほうを強調したいところなのだろう。そういう指摘はたくさんなされるわけではない。憲法にそういう弱点があるかないかは別として、憲法の制定を前後した、そして、その後の憲法政治をめぐる議論のなかで、少なくともこの問題に政治が、きちんとした向き合い方をしてこなかったことは、否定のできない歴史的事実である。戦後政治が、戦前に続いて、コリアンの権利を踏みにじったことは、他の戦後処理にかかわるような問題での政治のありようと重なって見える。それはいまに続く問題であり、単純な「共生」という抽象的な概念にくくれるとは思えない。
もう1つ、戦後、その後も、なぜこの問題は多く語れらなかったのかという問題。冷戦や、いわゆる「50年問題」と言った複雑な問題が覆い被さってくる。
ボクらがしっかりみなくっちゃいけない戦後史というものが、まだまだたくさんあるということは事実なようだ。宿題をあたえてくれるドキュメント。
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コメント
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かつてないほど悪質な偏向報道でした。NHKがナレーションで「各地に朝鮮学校を整備しました」と言ったが、私は腰が抜けた。他人の土地を強奪し不法占拠した。仕方ないとあきらめた地主との間で金銭決着が付いたのは何十年も後の話。いまなお裁判で係争中の土地があるじゃないですか。そもそも、在日が主張するところの差別を語るときに、朝鮮進駐軍に触れない時点で、歴史の捏造なのです。
投稿: 通行人 | 2010/07/26 03:27