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2010/07/03

幻想の抑止力―沖縄に海兵隊はいらない

 短い本です。

0372 鳩山首相の辞任までつながった「抑止力」。マスコミでは日常用語のように使われるが、誰がその内実を正確に知っているのか。本書はまず、国際政治において、「抑止力」概念が生まれた経緯を分析する。そして、「抑え、止める」という言葉と裏腹に、戦争を生み出した過去の事例を検証する。次に、海兵隊の実態と歴史である。なぜ「殴り込み部隊」と言われるのか戦争でどんな役割を果たすのかを紹介する。その上で、沖縄に海兵隊をおくことが、「抑え、止める」のでなく、戦争を誘発しかねないことをたんねんに分析する。いま、日本とアジアの平和を考える格好の書。

 沖縄には海兵隊はいらない。その立場で、いまの普天間問題の解決を提起する。こういう思いはボクも筆者と同じだ。そして、この抑止力という言葉自体、定義がはっきりしているわけではない。その問題についての、正面からの議論も求められていただけに、その問題に正面から挑んだ労作に敬意を表したい思いでいっぱい。筆者の思いに共感し、ボクもがんばらなければという思いになった。

 そのことを前提に、やっぱり意見の微妙な違いもある(笑い)。筆者はある意味で、現実主義者。武力というものが実際に存在し、その武力があるの役割をはたしている現実がある。そしてその武力を少なくない人が承認している。そのことから議論が出発する。だから対抗的な方向も、憲法9条ではなく、国連憲章であったりする。ボクは、そのことが、議論の組み立てを窮屈にしているという印象をもつ。
 だから、現実の沖縄の海兵隊の問題を論じるときも、アメリカの戦略をもっと論じてほしいし、中国の問題を論じるときも、現実の少なくない人の中国への懸念から出発して、中国の軍事の実体はあまりろんじられない。一言付け加えれば、海兵隊の評価もちょっとちがうかなあ(大づかみに論じているだけなので、いちゃもんをつける問題ではないけどね)。

 でも、こういう議論をすすめるということが大事だし、この手の問題を本格的に議論する論考が、沖タイの屋良さんの本以外には、あまりないだけに、大事だと思う。刺激ももらったし、ほんとうに普天間基地の無条件撤去に向かって、本土の議論が活発になるうえでの契機にしてほしい本だと思う。

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