病院は建てたけれど~地域医療・混乱と模索の現場から~
今日のETV特集はかなりショッキング。
立派な病院を新築したものの、肝心の医師が集まらず、オープン当初から巨額の赤字を計上する自治体が相次いでいる。医療崩壊に端を発する自治体の財政破綻が現実のものになろうとしているが、それでも大規模病院を新築しようという自治体は全国に後を絶たない。
今年4月にオープンしたばかりの北秋田市民病院。90億円以上をかけて21診療科320床の市立病院を新築したが、予定の半数の医師しか確保することができず、真新しい病棟の半分は空いたままだ。病院運営は秋田厚生連に委託されているが赤字は全額市で補てんするという約束で、建設費の償還に加えて年間3~4億円と予想される赤字が市の財政にのしかかる。
十和田市では2年前に164億円かけて新築した市立中央病院の経営が悪化。毎年10億円もの赤字を出し続け、銀行からの借入でようやく経営を維持する自転車操業に追い込まれている。このままでは市の財政を圧迫し、市自体が財政再建団体に転落しかねないと、この2月から経営検討改革委員会を立ち上げ、根本的な経営再建に乗り出した。
こうした赤字病院の建設が続く背景には、ダムや道路などの公共事業に逆風が吹くなかで、「医療の充実」という謳い文句には異論が出にくいため、「公共事業最後の聖域」として期待されているという現実がある。そのため、過大に見積もられた需用(患者数)に基づいて、医師の確保のめどもないまま、各地で「身の丈を超えた病院」が建設されるのである。
番組では、外部の専門家を招き経営改革に乗り出した十和田市のケースを中心に、病院建築ラッシュが加速する「医療崩壊」の現実にスポットを当てる。
医療制度そのものの問題も視野にいれながら、番組は、地域医療の崩壊を行政責任という面から迫る。こういう視点は、あまりなかったのかもしれない。たしかに、赤字をつくった最大の要因は、古い公共事業型の政治である。
それを推進し、現場に赤字を押しつけるという構造。
その解決の方向として、取り組まれる「地方独立行政法人」という方法。たしかに、行政の硬直的な対応から現場は解放される。しかし、短期の効率的な結果が求められ、一方で、住民への行政の責任は放棄される…。
そこからはいろいろな論点が提示される。行政と病院の関係、そのなかで、医療現場の努力や専門的な見解は受けとめられているのか? しかし番組ではふれないが、逆に言えば、政治は、行政独自の専門性を尊重したり、育成したりすることはできているのか?
それでも医療への期待はやっぱり大きい。
結局、政治の基準が、何か頭でっかちの、システムの構築ではなく、住民の命や暮らしをどう支えるのかというところにあるのかが貫かれるのかどうかということが問われている。そのために、国も地方も、どう責任をはたすのかということを論じるべきだ。現実にありもしない空理空論を、美しい理念だけで語るべきではない。そのためには、公立病院と民間の医師との連携など、現場に蓄積された、行政にも蓄積されているはずの、努力や成果ということにもっと謙虚になるべきだ。そのことを支援し、そして責任をはたせる政治をどうつくるのか、それを支えるような市民的な運動をどう広げるのか。っそして何よりも国の制度には何が問われているのか? 答えは、簡単ではないのだろうけれども、突きつけられた課題はあまりにも多い。
なんとなく、「TOMORROW―日はまた昇る」というドラマを思い出しながら、このドキュメントを見た。
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