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2010/05/11

抑止力論を考えると…

 鳩山さんが「抑止力のために海兵隊は必要」と発言して、あらためていろいろなところで、抑止力とは何かが話題になる。水島さんの議論もそうだし、今日、きた「週刊朝日」でも、「沖縄・海兵隊に『抑止力』なし」というタイトルが踊っている。だいたい、抑止力って、いったいどういうことなんだろうか?

 まず、日本を守る力が抑止力なのか? 日本にいる米軍・海兵隊が日本を守る部隊ではないことは、米軍自体がくり返し語っていること。だいたい、沖縄の海兵隊は、日本に必ずしもいるわけではないし。
 では、何が抑止力なのか? 簡単に言えば、敵対する国を、つねに圧倒できる武力があることが抑止力であるということができそうでもある。米軍の政略の基本は、世界のどの国に対しても、圧倒的に軍事力で上回るということにあるのだから。

 そう考えると、普通の国民が不安に思っている北朝鮮や中国に対して、抑止力ってことが意味をなすのか?
 たとえば、中国。だいたい中国対米軍+自衛隊という図式だけで圧倒的な軍事力の差がある。何よりも、対中では、核抑止という大きな枠組みもある。そういうなかで、いまの海兵隊の抑止力って、どんな意味があるのか?
米中関係をみても、いかに信頼性をつくるのかというところでの駆け引きの方が中軸であるようにも思える。どうも、対中抑止力という議論もすっきりしない。
 そして、北朝鮮。海軍力や空軍力の貧弱な、この国には、ほとんど敵対する力があるとは思えない。むしろ、この国の危険は、テロと同じ種類のような感じがする。つまり、抑止力が働かない相手という性格付けが正確なような気がする。そういう国には、抑止力以外の対処こそ求められるという議論になりそうなもの。

 あえて、抑止力という、軍事的な土俵にのっかっても、あんまり、まともな議論がされている気がしない。そういうどうしょうもない気持ち悪さが、この間の議論の流れにはある。自民党政権時代から、聞かされた、抑止力という、よくわけのわからない議論(この議論が、浮上してきたのはいつからなんだろうか?)。いろいろ考えさせられるところであるが、あまり、まともな議論は、探してみても実は、あまりないような感じがしている。

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普天間基地問題の本質は戦後65年にも及ぶ自民党政権の対米従属外交が沖縄への米軍基地集中と治外法権的米軍優先、基地施設区域の無期限自由使用を容認し沖縄県民の基本的人権を否定して来た事にある。日本国憲法、日米安保条約、地位協定の矛盾点、致命的欠陥を放置し沖縄県民の犠牲の上で経済的発展、歪んだ日米関係の下での利権構造維持を計って来た政官業癒着の結果である。

鳩山政権は昨年9月の政権交代後も自民党長期独裁政権で実質的な官僚統治機構を構築し国民に選ばれた政治家の権限を制約して官僚の既得権限を維持しようとする各省庁の人事刷新に切り込まず(内部で社長と呼ばれる)事務次官支配を容認した事で経験の浅い閣僚、政務三役は政治主導を掲げながら官僚の提示する誤った情報に翻弄されて実質的な主導権を失っている。

鳩山総理がここで乾坤一擲の勝負に出て対等な日米関係を前提に米軍基地施設区域の無期限自由使用に終止符を打ち、辺野古移設を使用期限付きの暫定基地と位置付け将来的な海兵隊及び陸軍グリーンベレーを含む米軍地上部隊の全面撤退と訓練施設の返還で米国と合意出来るならば最低でも県外との公約は実現可能である。

普天間基地問題をゼロベースから検証するならば自民党政権の悪政に加担して米軍への思い遣り予算に巨額の支出を認め、日米地位協定の包括的な見直しを拒否し、SACO合意で辺野古移設を決め、日米同盟再定義で自衛隊の米軍との一体運用を認め、米軍再編ロードマップに伴う不当な財政支出を請け合い、辺野古に米軍が求めもしない巨大基地を構築しゼネコン利権に関与しようと目論んで来た実務官僚を排除して鳩山総理直属のプロジェクトチームを立ち上げるべきであった。
現実的にはグアム移転計画に含まれるサイパン、テニアンへの訓練施設構築で完成予定の2016年までは在沖海兵隊の一部が北部訓練場、キャンプシュワーブ、キャンプハンセンでの訓練実施の為に普天間代替施設を必要としているがSACO合意で辺野古移設に求められたヘリ部隊60機の内、40機程度はグアムに移転し沖縄に残るのは20機程度である。

防衛省、外務省の実務交渉に臨む官僚は沖縄米軍基地の無期限自由使用を前提として普天間代替施設でのオスプレイ運用に配慮して編隊飛行訓練で必要な最大値として1600m滑走路を目論んでいる。これは米国がSACO合意でも米軍再編ロードマップでも明言して来た「戦闘機の運用は想定せず」の歯止めを外して空母艦載機の運用を可能にしヘリとは桁違いの轟音を発生させる。

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