働きすぎに斃れて ―― 過労死・過労自殺の語る労働史 ――
しかられるかもしれないけれども熊沢さんの本にはいつも降参させられる。この本もすごかった。とても、胸が詰まった1冊だった。
この本は、過労死の歴史をたどる。そして、その帰結が、過労自殺である。そこにはあきらかに、ある時点からすすんだ、成果主義というものがあり、その一方で、非正規労働を使いすてる体制がある。日本の”失われた20年”というものの、労働現場であらわれたものがなんであったのかというものを告発する。そして、それをもたらしたものが、高度成長のなかでつくられていった過労死をつくるような労働現場の実態なのだと。ルールなき資本主義とよく言われる。それが、このようにつくられたのかと改めて考えさせられる。
悲しみに満ちた1冊である。どれだけの悔しい思い、助けられなかった後悔、そして何よりも、命を奪われたというたとえようのない悲劇。その積み重ねのうえに、日本の血塗られた見にくい資本主義があるということなのだと、あらためて思いかえさせられしまう。
非常な資本の論理、それを支える行政組織と、日本的な企業内の”労働組合”…。そして、人をからめとるようなシステムはいまだ死んでいないのかもしれない。
ならば、そのことをただすたたかいは、屍を背負って対峙する覚悟がいるということか。それは、いま、地を這うよう孤立のもとにいる非正規のたたかいとも一体である。
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