犯罪“加害者” 家族たちの告白
ニュースを見ていたら、ひきつづくクローズアップ現代で表題の番組を放送してて、思わず見入ってしまった。
重大事件になると必ず責任を追及され、社会にさらされる犯罪加害者の家族。犯罪とは直接関係のない子どもや親戚にまで影響が及び、最悪のケースでは自殺に追い込まれる家族もある。このたび、東北の市民団体が日本で初めて加害者家族を対象にしたカウンセリングやアンケート調査を実施したところ、その悲劇の実態が明らかになってきた。地域社会やメディア、ネットの攻撃によって「孤立」していく加害者家族。そこから浮かび上がる日本社会の姿に迫る。
番組では、冒頭、「手紙」という映画を紹介していたが、同じテーマでは、昨年「誰も助けてくれない」という映画が大きな話題を呼んだし、このブログでも紹介した。アメリカのとりくみなどで、とくに犯罪加害者の家族の子どもが地域で生き行くための支援のとりくみなどが紹介されることがある。修復的司法などのとりくみのうえだとは思おうけれども、日本社会のこういう加害者家族を追い込むような実態というものをどう考えたらいいのかということは、つくずく考えさせられる。
もちろん、こんなことはいまに始まったことではないのだろうけれども、家族責任ということが、地域社会が弱まっていくなかで、いっそう重視されるなかで、いっそうこういう風潮というものが拡大したことも事実なのだと思う。”無縁”社会が強調されるけれども、一方で、家族まるごとを社会から引き離していくというのが、この社会の実際なのだと思う。ここにあらわれているものは、結構、大きな問題なような気がする。
昨日の新聞には、次のような記事が、地方欄中心に紹介されている。
うつ傾向3人に1人/犯罪加害者家族を調査(朝日新聞)罪を犯した側の家族の悩みなどを把握し、支援につなげようと、仙台市のNPO団体などが当事者にアンケートした結果、加害者家族の3人に1人がうつ傾向にあることなどがわかった。最近になって広がりつつある犯罪被害者家族への支援に対し、加害者家族への支援はまだ少なく、このNPOによると、この種のアンケートは全国初という。
調査したのは、青葉区の仙台青葉学院短期大の高橋聡美講師(精神看護学)とNPO団体「ワールド・オープン・ハート」(WOH)。加害者家族の困りごとや求める援助、うつ傾向を調べる質問などに選択制で回答してもらった。殺人や傷害、窃盗などの事件を起こした加害者の家族のうち、県内を中心に34人から回答を得たという。
その結果、複数回答で、回答者の67%が事件について話し合える人がおらず、63%は被害者や遺族らへの対応に悩んだと答えた。58%は刑事手続きなどがわからず不安だったと回答、3人に1人はうつ傾向にあると判断できるという。「嫌がらせを受けて転居や転職を余儀なくされたり、悩んだ家族が自殺に追い込まれるなどのケースもある」と高橋講師は話す。…
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