« 沖縄県民と連帯し、普天間基地の即時・無条件撤去を求める4・14中央集会 | トップページ | 素直になれなくて »

2010/04/15

就学援助制度の一般財源化⎯ 地域別データを用いた影響分析 ⎯

 参議院の調査室が発行している雑誌に『経済プリズム』というのがあり、そこで表題の論文が掲載されていた。
 就学援助の制度は05年に改悪されている。生活保護世帯は、そのままだけれど、準保護世帯への援助がそれまで、国庫補助だったのが、交付金に一般財政化されたのだ。その結果、何が起きたのか?

 国庫補助がはずれ、すべては市町村の判断にまかされることになった。そのため、実際には、市町村では何がおこっているのかは全国的な調査はなかった。それを今回、はじめて調査したのが、この論文だ。

 ものはここにある

 結論は、こうである。

 第一に、準要保護率の高い地域は、東京・大阪の大都市圏の市区と、地方の小規模な町村に集中していることが分かる。前者は行財政規模が一定水準を超えているため多くの準要保護者に対応できており、後者は実際に就学援助を要する小中学生が多いものと推察される。また準要保護率の低い地域を見ると、ほぼ全てが非常に小規模な町村で構成されており、行財政規模が就学援助制度の運用に影響を与えているものと考えられる。
 第二に、就学援助制度の一般財源化は、市区町村別の運用格差を拡大させた可能性が高い。準要保護率の分布を時系列比較すると、分布の裾が厚くなっていることが確認された。また一般財源化後は、準要保護率0%の地域がほぼ倍増しており、国庫補助制度の廃止によって、事実上、準要保護者に対する就学援助給付を停止してしまった自治体が増加している。…
 第三に、経済分析の結果から、就学援助制度の一般財源化は市区町村の就学援助給付を引き下げた可能性が高いと考えられる。また、一般財源化によって、就学援助制度の運用に対して財政力が及ぼす影響が強まっているものと考えられる。

 地域主権ということが言われる。でも、何でも、それがうまくいく化と言えば、そうではないこの論文でも紹介されているが、林正義(2007)「国と地方の役割分担 -再分配的歳出を中心にした国際比較-」財務総合政策研究所『主要諸外国における国と地方の財政役割の状況』財務総合政策研究所には、他の先進国と比較して日本の地方政府は生活保護や健康保険、介護保険など再分配的歳出規模が大きくなっていることを指摘している。つまり、こういった状況を無視した地方分権の推進は、地方政府の再分配的歳出を抑制させる可能性が高いというのだ。社会保障、財政の再配分においては国の責任の領域というものがあり、いわゆる「補完性の原理」はこの点では通用しない。
 このナショナルミニマムをめぐる問題をおさいえない新しい公共性は、実は、空洞化した公共性ということもできる。そんなことを示す貴重な調査である。

Banner_02人気blogランキングへ 励ましのクリックを

|

« 沖縄県民と連帯し、普天間基地の即時・無条件撤去を求める4・14中央集会 | トップページ | 素直になれなくて »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/59689/48096353

この記事へのトラックバック一覧です: 就学援助制度の一般財源化⎯ 地域別データを用いた影響分析 ⎯:

« 沖縄県民と連帯し、普天間基地の即時・無条件撤去を求める4・14中央集会 | トップページ | 素直になれなくて »